2020年度の活動の特徴と課題(中同協共同求人委員会での問題提起)

中同協共同求人委員長 川中英章氏

2020年は、皆さんの県でも新型コロナ感染症の影響で採用の環境が変わったと想像します。私は広島同友会に所属していますが、東京の大学に進学した学生のうち、以前の倍以上の45%が広島に戻りたいと考えているというデータがあります。東京の生活では住みにくい、地元に帰りたいということもあったのではないでしょうか。

このたび東京で開催した中小企業サミットでは、初めて全国の皆さんが求人ブースで話をしている姿を見ることができました。共同求人委員会では「単なる人採りの求人活動ではなく、自社をよくするための取り組みの1つですよ」ということを再三再四お伝えしていますが、そこが統一できていないことがまだまだ課題です。サミットを通して、同友会としての共同求人の品質をつくり上げたいと強く感じました。

まずは、就業規則の整備です。労働基準法や社会の変化に照らして常に見直され、精査したものを備えていること。次に、どのような働き方や生活の仕方なのかを、分かりやすく伝える企業の集まりであること。それから、人間中心の経営を志す企業の集まりであること。そして、採用活動を通して、自社の経営のあり方を見直すことを大事にしている集まりであること。最後に、環境や情勢に左右されず一貫して地域や学校との相互理解を深める社会教育運動にしていること。この5つの点を皆さんと同じ目的として確認し合い、そこに向かって取り組んでいけば、間違いなく学校や地域からの信頼につながり、同友会の共同求人活動の品質保証になると考えます。

コロナ禍のように学生が採用しやすい時でも、あくまで求職者が企業を選ぶという謙虚な姿勢でなければならないと思います。一人ひとりがどういった生き方が自分にふさわしいか、どういう風に生きていきたいか、その選択肢を示せるのが同友会企業だと思いますし、その時に初めて同友会の共同求人活動の価値が社会に認められ、必要とされるものになってくると思います。

同友会の共同求人活動は、地域・故郷を残す運動という立ち位置もあります。そして、求人活動を通して自身の至らなさに気づき、共育ちの活動と位置づけて進めていきましょう。今だからこそ学校とのつながりを持ち続け、同友会の共同求人活動が地域になくてはいけない、学校にとって必要な存在だと認められるような活動をしていただきたいと思います。

中小企業サミットを共同求人委員会の年中行事にし、皆さんの住む町に帰ってくる学生を迎え入れる入口・門として開催していきたいと考えています。

私は、小暮前委員長に「われわれの共同求人活動は、教育基本法から紐解かなければいけないよ」とご教授いただいたときは目が覚める思いをしました。自分たちが生まれた郷土にある価値とそれを守っていくことの価値、そこでやりがいを見つけて職業観や人間性を高め、生きがいを持って生活していく、そういったことを養うと謳(うた)われていますし、それをやっているのがわれわれ共同求人活動だと改めてハッとする思いでした。47都道府県のやりがいを今こそ若者に伝えて、地域で産業を紡いでいきましょう。

「中小企業家しんぶん」 2021年 3月 5日号より