神戸市三ノ宮周辺にレストラン3店舗、スナックラウンジ1店舗を展開する(株)MAGIE COMPANY代表取締役の高松千秋氏は、ドローン教室の経営を開始するなど自らの強みや地域との関わりを生かし、経営者を育てています。
お客様を守るために休業
「店は経営者スタッフのものでなく、お客様と3者が居心地のよい時間と場所をつくるのが店」という高松氏。4月の緊急事態宣言下では「お客様の命を守るため」に全店休業しましたが、固定客70名ほどから150万円ほどの寄付が集まり、「オンラインスナック」では120万円の売上となりました。
6月から再開したものの、今は固定客の要望と支援をもとに、1店舗のみ午後3~8時まで営業。阪神淡路大震災の経験と同友会で学んでつくった経営指針をコロナへの対応に生かしています。
従来、各店舗は店長に経営判断を任せ、仕入れから営業・発信まで、マネージメントを学びながら、店長業務を行えるように、育成してきました。コロナ禍でも各店の休業や営業時間など店長が判断しました。
以前からアルバイトの大学生もSNSでの集客効果実験や独自にランチ営業(店を時間単位でレンタル)体験、システム設計など自主性を尊重し、楽しく働いてもらう環境づくりを行ってきました。
「新しい形のバイトだからこそ人も集まる。環境づくりによってスタッフも育つ」という高松氏。同社は仕事を通じて社員が経営を学べる起業家のインキュベーションになっています。
楽しむことがこれからの仕事
一方で、「今後もコロナ前のように仕事は戻らない」と判断し、飲食とは全く異なる他業種展開を開始。「楽しむことがこれからの仕事」と、趣味のドローンを「スクール」事業として、昨年11月に(株)TWSM―JAPANを創業しました。
幼いころから経営者として働く母親の姿に学び、2人の娘は同社の取締役に就任。大学に通いながらも経営に携わり、すでに利益を上げる会社となっています。
スクールはこれまで関わりを持ってきた兵庫県養父市で実施。会社を立ち上げて3カ月で3回のスクールはすべて満席となり、将来は養父市の若者の働く場づくりにも貢献できると考えています。
「中小企業家しんぶん」 2021年 4月 5日号より