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注目すべき国際課税の動き~日本も公正・公平な税制への転換を

 今、国際的な税制の動きが注目されています。経済協力開発機構(OECD)は昨年、法人税の低税率競争に歯止めをかける最低税率の設定やデジタル課税など新ルールの素案を公表。実現すれば世界の法人税収が800億ドル(約8.4兆円)増えるとの試算も示しました。この新たなルールは約140カ国・地域が加わって論議してきたものです。

 この背景にあるのは、近年のグローバルなビジネスモデルの構造変化により生じた多国籍企業の活動実態と各国の税制や国際課税ルールとの間にずれが生じていることです。それを利用することで、多国籍企業がその課税所得を人為的に操作し、課税逃れを行っている問題が顕在化していました。(国税庁ホームページ「BEPSプロジェクト」参照)

 その代表的な例がタックスヘイブン(租税回避地)の問題です。OECDは、多国籍企業による税逃れだけで毎年1~2400億ドルの税収が失われていると推計しています。

 これらの問題に対処するため2012年6月、OECDにおいて「税源侵食と利益移転」(BEPS)プロジェクトが発足。(1)多国籍企業の活動の実態に即した課税ルールの策定、(2)多国籍企業の活動・納税実態の把握のための各国間の情報共有の枠組みの構築などをめざして論議が進められてきました。

 参議院外交防衛委員会調査室の上谷田卓氏はBEPSプロジェクトが国際課税における「国際協調」への大きな一歩を踏み出したことに対して、「国際課税に関する国際協力の歴史において転機となる」とその意義を指摘しています。(『立法と調査』2018年4月、「多国籍企業等による税源浸食と利益移転の防止」)

 このような国際的の動きとともに、個別の国々の動きも注目されます。イギリスは約半世紀ぶりに法人税を引き上げる方針を公表。年間の利益が25万ポンド(約3,700万円)以上の企業を対象に、現行の19%から25%に引き上げます。マスコミも「大企業を優遇してきた税制を転換し、負担を求める動きが各国に広がっている」、「大企業に偏ってきた政策を再考する時代だ」とこの動きを注目しています。(毎日新聞2021年3月30日)

 中同協は以前から法人税の問題点として「第1に各国の産業政策とも相まって法人税の税率引き下げ競争により、それぞれの国の財政収入を減少させ大きな負担をかけている。第2に、各国税制の課税要件の抜け穴を利用して租税回避が行われ、本来負担すべき税金を逃れている。第3に、法人税の中に連結納税や試験研究費の税額控除など大企業に有利な仕組みが実質負担を低めている問題がある」と指摘。そして「社会的役割を果たすことが企業としての存在価値と考え、その社会的役割に沿った租税負担をするべき」と政策提言をしてきました。(「2020年度国の政策に対する中小企業家の要望・提言」)

 今、同友会が政策提言をしてきた方向に世界は動き出しています。日本の税制も中小企業憲章の理念にそって、国民生活の基盤である中小企業、そして地域が発展するような公平・公正な税制へと転換する時と言えます。(KS)

「中小企業家しんぶん」 2021年 4月 15日号より

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