国際貨物コンテナ不足と運賃の急上昇

 昨年以来、複数の要因から国際貨物コンテナ不足、輸送遅延が問題となっていました。貨物コンテナはほぼ中国で製造されており、2019年の米中貿易戦争により国際貨物の動きの低下が懸念され、コンテナ生産量が4割ほど減少している状況でした。2020年に入りコロナの感染拡大の影響で、コンテナ生産工場がストップ。輸送する人員の確保が間に合わない状況も重なり、さらにコンテナの生産が減少、コンテナ不足となっています。

 さらに港湾でも人員の不足からコンテナの荷役作業の遅延などが起こり、船舶とともにコンテナも滞留してしまい、国際貨物の遅延が見られています。2021年に入り、アメリカや中国の経済の回復傾向のなか、輸出入の需要が世界的に増加し、国際貨物コンテナの運賃が急上昇してきています。

 2021年7月27日公益財団法人日本海事センターはコンテナ運賃動向を公表しました。国際貨物コンテナの運賃の状況を見てみます。最新のデータの2021年6月の運賃は、横浜からアメリカ・ロサンゼルスで7,760ドル、日本円110円換算では85万3,600円となっています。昨年2020年6月は1,750ドル(19万2,000円)であり、前年比443%で約4.4倍と、実に66万1,100円も価格が上昇しています。一方で、ロサンゼルスから横浜までの運賃は、2020年6月980ドル(10万7,800円)から2021年6月1,880ドル(20万6,800円)と前年比192%、2倍弱と上昇が抑えられています。

 同様に、横浜からイタリアへの運賃を見ますと、2020年6月1,250ドル(13万7,500円)から2021年6月7,000ドル(77万円)と5.6倍の運賃となり、逆にイタリアから横浜への運賃は前年比164%と上昇が抑えられている状況です。(表)

 アメリカや中国、ヨーロッパなど世界的なコロナ禍からの財政出動のなか経済が回復し、インフレ気味の傾向がある中で、日本からの輸出が増加傾向の一方、日本は消費が低迷し、輸入が低迷しているとも考えられます。国際貨物コンテナ運賃の上昇などの複合要因で、ウッドショックのような資材やモノの価格の急上昇が今後も懸念されます。

「中小企業家しんぶん」 2021年 8月 25日号より