【特集】同友エコ2020受賞企業の実践【同友エコ環境経営委員長賞】産業発展と環境保全に貢献 大宮工機(有) 代表取締役 宮城 光秀氏(沖縄)

1980年に脱サラした父親が建設機械の販売・修理業として大宮工機(有)を創業しましたが、業界の変化を捉えて、すぐに建設機械レンタル業へ転身しました。1997年、次男の宮城光秀氏が入社したころ、現在では同社の主力商品となった濁水処理装置を導入しました。宮城氏は1999年に同友会へ入会し、環境関連部会「エコま~る」(現・ビジネス連携部会「環境委員会」)の設立に関わります。先輩会員とともに環境について学び、エコアクション21を県内20番目という早期に取得し、現在まで15年間継続中です。

数年後、濁水処理装置を製造していた企業の経営が傾いたため、ノウハウと共に社員2人を引き受けることになりました。引き継いだ装置は小型ながら処理能力が高く、使用する薬品も安価という優れたものでした。現在、県内で同様の装置を扱っている企業は大宮工機(有)を含めて2社のみであり競合は少なく、関連特許も3件取得しています。

同友会の若手経営者部会「うりずん」で、サンゴの養殖・移植・放流を手がける「海の種」の金城氏の講演を聞いたことがきっかけで、2009年より、濁水処理装置のレンタル1回ごとにサンゴを1本移植する取り組みを始めました。これまでに600本を超えるサンゴを移植し、そのたびに、移植したサンゴの写真を添えた感謝状を、装置を利用していただいたお客様へ届けています。

経営方針に「私たちは、建設機械のレンタルを通して地域の産業発展と環境保全に貢献します」という1文があります。産業発展と環境保全は、場合によっては相反することもありますが、その両方に貢献することで、持続可能なSDGsの取り組みへとつながっています。

毎月第4土曜日には社内研修を行っています。社員が4つの委員会(環境、安全、3S、研修・レク)に分かれておのおのの課題を研究し、毎月2委員会ずつ交互に課題発表を行っています。

エコアクション21の取り組みでは、毎年「環境活動レポート」を作成し、電気、水、燃料、紙の使用量と廃棄物の排出量を測定し、削減目標の達成に向けて取り組んでいます。15年目ともなると新たな対策が出尽くして、マンネリ化してきていることが課題です。

建設機器レンタルは、バックホーのような大型機械もありますが、大型になるほど投資額も大きくなり、元がとれるまでに期間を要します。大宮工機(有)では、高圧洗浄機などの小型~中型商品の回転数を多くすることで売上を伸ばしてきました。また、同友会会員と連携してIT化を進め、お客様からかかってきた電話と連動して顧客情報がパソコン画面に表示される「CTIシステム」を自社開発しました。電話を受けながら受付業務を行うことができ、伝票の発行や管理もスムーズに行うことができます。さらに、商品1点1点にICタグを貼り付け、出荷や返却の管理が簡単にできる「ICタグシステム」を2009年に導入し、効率アップにつながりました。建設機械のレンタルは他社と商品の差がつきにくいため、サービスの品質向上に力をいれています。

昨年本社を移転し、今年5月に宮城氏が社長に就任しました。同友会の社員教育にも社員が順番に参加する仕組みを継続し、社内でグループ討論が活発に行われるようになりました。「人を想い 人が育ち 人に尽くす」経営理念のもと、今後は、環境関連の新事業にも取り組みたいと意気込みます。

「中小企業家しんぶん」 2021年 10月 5日号より