【特集】同友エコ2020受賞企業の実践【同友エコ会長賞】会長賞受賞によせて 西岡化建(株) 専務取締役 西岡 洋子氏(大阪)

環境改善を掲げる経営理念を実践する

誰もが体験したことがない、新型コロナウイルス感染拡大は急速に世界中に広がりました。マスク着用、消毒、ソーシャルディスタンスと言われるままに感染症対策をしながら手をこまねいてきました。現場で直接施工する弊社の業務形態ではリモートワークだけで仕事が終わるすべもなく、当初、相次ぐ受注工事の中断、中止、延期の申し入れにこの先どうなってしまうのかと恐怖が襲いました。2年近く経ってまだ収束が見られない疲弊した経済はこのあと何を選択するのか、経営者に決断を問いかけてきます。弊社の経営理念に掲げてきたのは技術の研さんと環境の改善、共に働き社会貢献をめざすことでした。その実践を続けていくのみと思いました。

付加価値の高い企業となるために

弊社が環境認証エコアクション21の取得を手掛けた時期は2008年リーマンショックのあとで、未曽有(みぞう)の不況といった言葉が飛び交っていました。創業30年を過ぎてなお建設の人手不足、売上の不安、商品ニーズの未知数が今後の事業継続に影を落とし、このまま続けてもと当時の社長が危惧していました。やり残した感に苛まれながら浮かぶのは、会社操業のシステムがほしい、世間にわが社の技術を知ってもらいたい、社会に役立つ仕事をしていることを社員の誇りとしてほしいということでした。広報部員をしていて、環境部会の取材をしたことから自社で取り組めるかもとエコアクション21に期待を持ちました。業務主軸の防水工事は大切な資産を風雨による浸蝕から守り長持ちさせる、耐酸耐熱の防食工事は工場床や貯蔵タンクの蝕(むしば)みを防ぎ、薬品汚染から工場と働く人を守る、本業が地球環境に配慮したエコアクションであると気づきました。

SDGs17の目標にも沿って

2011年に認証取得してから今年で10年。最初はCO2排出削減のための5S活動を進め、建設現場から持ち帰る産業廃棄物の徹底した分別、社内の消費電力や消耗品の節約、工事現場での工程や材料配分の無理無駄をなくす教育に力を入れました。材料については遮熱効果や耐震性のものを選ぶこと。特に工事中に出る臭気についてはメーカーで研究された低臭性の材料を施主様に提案しましたが仕入れ価格は3倍、見積もりへのご理解をいただくことが先決でした。特定化学物質及び4アルキル鉛等作業主任者の技能講習を行い、資格を取得していきました。欧州から安全性を懸念されたスチレンモノマーなどの物質を含まない防水材料に特化するため、メーカーとともにノンスチレン工業会を立ち上げ活動しています。環境経営レポートは2020年度環境省の主催する環境コミュニケーション大賞環境大臣賞を受賞しました。次いでこのたび中同協同友エコ大賞において会長賞を受賞したことはこの上ない栄誉、仕事のブランド力をいただいたと喜んでいます。今、地球規模で激甚災害が発生し、それは地球温暖化の兆候であると認められます。2030年に向けてSDGs17の目標に取り組む、大阪同友会環境経営部会での学びの実践が弊社を育ててくれたと感謝いたします。

【会社概要】

事業内容:一般建設業・防水工事/防食工事/塗装工事/内装仕上げ工事/建築工事
創業:1975年
設立:1978年
資本金:2,000万円
社員数:30名(役員含む2021.9月現在)
年商:2億6,600万円(2020.9月期)

「中小企業家しんぶん」 2021年 10月 5日号より