【特集】同友エコ2020 2020年度の同友エコ(環境経営・エネルギーシフト・SDGs)アンケートについて 中同協環境経営委員長/弁護士法人赤津法律事務所 代表社員 赤津 加奈美

2020年度の同友エコ(環境経営・エネルギーシフト・SDGs)アンケートは、28同友会から1307(昨年度は22同友会から638)の回答をいただきました。ご協力ありがとうございました。

今年は、大賞を「会長賞」「幹事長賞」とし、東北工業大学の山田一裕先生、京都工芸繊維大学の芝池英樹先生にも審査にご協力いただき、あらたに「外部審査委員賞」を設けました。

今回は全アンケート回答から、全国会員企業の環境経営の取り組みを見てみます。

全体的特徴 経営指針実践からEMS認証取得へ

アンケートには回答項目に応じて評点を配分し、合計点数十点以上の136社を第1次審査通過としました。経営指針について、回答数の80・25%、第1次審査通過企業ではほぼ全社が「ある」と回答し、経営指針と環境経営に相関関係が読み取れました。さらに、ISO14000やエコアクション21などの環境マネジメントシステム(EMS)の認証を取得している企業は、全回答数では1割弱のところ、第1次審査通過企業では24%が自社CO2排出量を把握しており、割合が高くなっています。環境マネジメントシステムの認証取得が環境経営の取り組みに有用であることの表れと読み取れます。

具体的な取り組み内容

具体的な取り組み分野ではCO2排出削減や廃棄物3Rがもっとも多く、エネルギーシフトや再エネ事業、生態系保全や歴史文化保全にもかなりの数の会員企業が取り組んでいます(表1)。事業のインプット面では、約4割(回答企業のうち)の企業で節電や節エネルギーが取り組まれています。事業のアウトプット面では、約3割の企業で廃棄物のリサイクルや適正処理が取り組まれています。自社製品・サービスの社内面では、2割強の企業で製品の回収やリサイクル、環境社員教育、がそれぞれ取り組まれています。地域社会など対外的には、約3割の企業が地域の清掃や緑化活動に取り組んでいます。

具体的分野での先進的取り組み

建設業関連では、124社が地元産材や国産材の活用に取り組み、ゼロエネルギービル(ZEB)に12社、ゼロエネルギーハウス(ZEH)に33社が取り組んでいます。農林水産業関連では、206社が地産地消に取り組み、30社が有機認証やFSC、ASC/MSCなどの認証取得、認証産品の活用に取り組んでいます。

再生可能エネルギーの取り組み

エネルギーシフトの中核事業である再エネ事業への取り組みや再エネ電力利用は、昨年アンケートに比べ、より多くの会員企業が取り組むようになりました。

FIT(固定価格買取制度)法適用の再エネ事業について、主要な事業の1つとして取り組んでいる企業は43社(昨年度21社)、主要事業ではないが屋上パネルや屋根貸しをしている企業が89社(昨年度47社)といずれも増えています。再エネ発電電力(グリーン電力認証)の利用も、100%利用が10社(昨年度3社)、50%以上利用が10社(2社)と、これも増えています(表2)。

SDGs

SDGsに対する関心は高く、回答企業の約半数が関心を持ち、およそ1割(127社)の企業が自社のゴール番号を設定して取り組んでいます(表3)。

まとめとお願い

アンケート回答の自由記載欄には、全国の会員の皆さんの多種多様な取り組みが報告されています。中小企業の環境経営は実に各社各様、アンケートなどで一括りにできない多様性を実感しました。それゆえ、より多くの会員の皆さんに回答いただいて「中小企業の環境経営」の内容を豊かにしていきたいと思います。アンケートの内容や審査に対しても、広く忌(き たん)憚(き たん)のないご意見をお寄せください。

今年もすでに9月から2021年度アンケートを各同友会でお願いしています。実施期間は年内を予定しています。会員の皆さんには、アンケートにご回答いただけますようお願いいたします。

「中小企業家しんぶん」 2021年 10月 5日号より