すべての人がそのすばらしさを発揮できる企業づくりを【2021第7回経営労働問題全国交流会】

 9月21日に「2021第7回経営労働問題全国交流会」がオンラインで開催され、41同友会から247名が参加しました。

 「事業の再構築に向けた企業づくり~コロナで深める『労使見解』」をテーマに開催された本交流会は、コロナ禍による環境変化により当初の予定や企画、設営方法を大幅に変更しての開催となりました。

 冒頭、林哲也・中同協経営労働委員長による開会あいさつでは、「時代をひらく同友会らしい事業再構築の推進について実践的に明らかにする、『労使見解』にもとづいた経営指針成文化運動の推進の契機とする、経営指針の実践において就業規則整備をはじめとする働く環境づくりへの取り組みを後押しする」という3つの問題提起がありました。

 記念講演では山田美和・日本貿易振興機構アジア経済研究所 新領域研究センター法・制度研究グループ長が「『ビジネスと人権』とこれからの企業経営」と題して、ビジネスと人権に関する国連指導原則が成立してきた背景や内容について紹介。経営理念や経営方針に人権尊重の視点を取り入れ、自社の労働環境改善のみならず、取引先の人権尊重について配慮し責任あるビジネスを展開することにより人権デューディリジェンスが促進されていくと、中小企業が果たす役割の重要性について強調しました。

 続く報告では、藤浦隆英・中同協経営労働副委員長が2021年7月に中同協監修で発刊した『中小輝業への道』について、発刊の趣旨や概要、活用方法などを交えつつ、「就業規則の考え方に着目した本書を、社員が安心して働ける環境づくりの実践につなげる一助として多くの方に活用いただきたい」と紹介しました。

 また、書籍の中で紹介されている実践事例報告者として、竹村ひとみ・ていくあい(有)代表取締役(奈良同友会)が「社員に寄り添う働く環境づくりは『共に生きる道』」をテーマに、経営理念をまとめ、社風を築き、就業規則や10年ビジョン策定などのプロセスを通じて変化してきた竹村氏自身と会社の姿について報告がありました。

 その後30グループに分かれてグループ討論を行い、自社経営と人権について、働く環境づくりについて深め合いました。

 最後に山田茂・中同協経営労働副委員長が「コロナで直撃を受けて1年半、当初は同情的だった銀行の対応も経営者がビジョンを描き、いかに伝えられるかをシビアに見られるように変化している。私たちの企業づくりは、日常的なもの。経営指針に掲げたビジョンを成果につなげるための具体的な行動を、私たちが先頭に立って進めていこう」とまとめ、閉会しました。

「中小企業家しんぶん」 2021年 10月 5日号より