連載「会社を成長させる人材採用」コロナ禍での新卒採用 (株)エム・ソフト 顧問・社会保険労務士 西 秀樹(東京)

 コロナ禍での採用・就職活動では企業も学生も手探りが続いています。そんな中で大きく変化している採用活動の基本を今一度確認し、人を生かす経営の実践につなげていくことが大切です。連載「会社を成長させる人材採用! 知っておきたい役立つポイント」の第5回目は、「コロナ禍での新卒採用」です。

 コロナ禍での新卒採用も2年目を迎えました。緊急事態宣言、外出自粛などの影響もあり、対面方式の採用手法からインターネットの音声電話やテレビ電話機能を活用したオンラインでの採用手法が主流になりつつあります。「採用は、対面じゃなければダメだ」との声もあり、企業にとってもデメリットも確かにあります。しかし、メリットもあるのではないでしょうか。

 今回は、コロナ禍において特に「オンライン面接」について話を進めたいと思います。

 採用面接は、「五感を使って学生の人柄を判断したい」そのために対面を重視したい、と多くの企業が考えています。ですが、企業と学生が場所に捉われることなく面接を行えることから、1次、2次面接に「オンライン面接」を活用してみてはいかがでしょうか。

 企業は、求人サイト(求人票)に「オンライン面接」であることを掲載しましょう。オンライン面接の日時が決まった学生には、使用するオンラインツールや使用方法、接続トラブル時の緊急連絡先などを記したものを学生に事前メールしておくとよいでしょう。

 オンライン面接前には、面接慣れしていない現場面接官のために、「面接官の印象は企業のイメージ低下にもつながること」を十分に説明し、学生によい印象を与えられるようにロールプレーイングをやっておくこと、複数面接の場合には、あらかじめ「段取り」を組んでおくことをお薦めします。

 オンライン面接時ですが、面接官はリラックスした表情や笑顔をつくり、面接官の自己紹介や身近な話題から会話を始めるとよいでしょう。面接中は、学生にとって目線が合いづらく、聞いてもらえているのか不安になりやすいため、大きめに頷くなどリアクションを多めにし、聴いていますよというメッセージを学生に与えるようにしましょう。そうすることで学生に安心感を与えます。

 最後に、オンライン採用では、学生に与える情報量が少なくなるため、入社意欲を上げるためにも会社の雰囲気、社長、先輩社員の動画などいくつかの動画を見てもらうなど事前の工夫が必要になってきます。

〈プロフィール〉西 秀樹氏

神奈川大学法学部法律学科卒業。旅行業界人事、外資系コンサル会社を経て、現在は、新卒採用、人事評価制度策定、就業規則などの作成を主たる業務としている。

「中小企業家しんぶん」 2021年 10月 15日号より