ゼロカーボン研究会が発会 創エネ・省エネに挑戦【北海道】

 北海道同友会では、新たな全道研究会として「ゼロカーボン北海道研究会」を立ち上げ、9月16日に設立総会と記念セミナーを開催しました。総会には27名が出席し、代表に興和工業(株)代表取締役の鈴木高士氏(西胆振支部)を選出しました。

 異常気象に伴う災害が世界中で頻発する中、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書は、「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と明記しました。

 国は、2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロの脱炭素社会実現という方針を打ち出し、北海道もゼロカーボン推進局を設置しました。一方、地域を支える道内中小企業の間でも、地球環境問題への関心は着実に高まっています。

 同研究会の発起人となったのは札幌、西胆振、南空知の各支部に所属する5名。今回代表に選ばれた鈴木高士氏は、小水力発電に取り組む会社を立ち上げており、副代表の大石清司氏((株)共同舎代表取締役)は営農型太陽光発電の会社を設立しています。そのほかの副代表は、両社の創エネ事業をサポートする小野尚弘氏((株)大地とエネルギー総合研究所代表取締役)、廃プラスチックを原料とするハイブリットボイラを開発した相馬督氏((株)エルコム代表取締役)、古材を再利用した民家再生や高断熱住宅に取り組む武部豊樹氏(武部建設(株)代表取締役)と、創エネ・省エネに取り組んでいる方々です。

 5回の準備会で互いの取り組みや思いを語り合い、研究会の目的や骨格を議論しました。設立趣意書は、「北海道には豊富な再生可能エネルギー資源が賦存しています。地域資源を生かした域内経済循環をめざし、再生可能エネルギーを創出することは、地域とともに歩む中小企業の役割です。エネルギーシフトの実現と新しい事業の可能性を追求しましょう」と呼びかけています。

 当日は、NHKテレビや新聞社も駆けつけ、北海道ゼロカーボン推進局のトップ今井太志推進監が、「ビジネスと脱炭素の取り組みが一緒に進んでいくことを期待します」と、北海道同友会の研究会誕生に期待の言葉を寄せられました。

 記念セミナーはオンラインも含め150名が参加。自然エネルギー財団の石田雅也シニアマネージャーと、CDPジャパンの高瀬香絵アソシエイト・ディレクターから、再エネ電力と北海道への期待、脱炭素に向かう内外の取り組みについてプレゼンがあり、清水町のバイオガスプラントの事例報告も行われました。

 参加者から「脱炭素経営に興味を持っていたが、なかなか一歩を踏み出せなかった。同友会の仲間と一緒に取り組みたい」と期待の声が寄せられ、研究会会員は51社に増えました。

 いま多くの中小企業がポストコロナに向けて事業再構築を模索しています。創エネ・省エネをキーワードにした中小企業の新しい挑戦は、地域と地球環境の課題をつなぎます。

「中小企業家しんぶん」 2021年 10月 15日号より