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新しい資本主義実現会議 近年の政府の成長戦略をみる

 10月9日の閣議にて「成長戦略会議」が廃止され、10月15日の閣議にて「新しい資本主義実現本部」が岸田首相を本部長として設置されました。「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとした新しい資本主義を実現していくため、実現に向けたビジョンを示し、その具体化を進めるため新しい資本主義実現会議の開催も決定したとました。

そこで、これまでの政府の成長戦略を振り返ってみます。

2013年「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」が決定。3つのアクションプランとして、「日本産業再興プラン」「戦略市場創造プラン」「国際展開戦略」が打ち出されました。これはその後16年まで日本経済再生本部、産業競争力会議などで検討され政策に反映されてきました。14年「未来への挑戦」、15年「未来への投資・生産性革命」、16年「第4次産業革命に向けて」と題して日本再興戦略が改定されています。

 2016年の「日本再興戦略」では、「中堅・中小企業・小規模事業者の革新」の項で、「地域経済の主役は、中堅・中小企業・小規模事業者である」と位置づけ、(1)世界市場を目指した地域中核企業の成長支援、(2)TPPを契機とした地域中小企業等の海外展開、(3)IT利活用をはじめとする中堅企業・中小企業・小規模事業者の生産性向上支援、(4)「ローカルベンチマーク」等を活用した担保や個人保証に頼らない成長資金の供給促進、金融機能の強化と事業再生・事業承継の加速化をカギとなる施策として掲げています。

 2017年の「未来投資戦略2017―Society 5.0の実現に向けた改革」では、「地域に雇用と所得を生み出し、経済環境の変動等にも強く真に自立した地域経済構造を確立することや、日本経済の抱える課題に先行して直面する中小企業・小規模事業者の再生を実現することで、日本経済再生の試金石とする」とあります。17年までは中小企業を重要視する表現がありますが、18年の未来投資戦略を見てみると、「経営者の高齢化や人手不足の問題等を解決するため、事業承継の集中支援や創業支援、経営人材や右腕人材となる中核人材の確保等により、健全な“新陳代謝”を促していく」とあり、雲行きが怪しい感じがします。

2019年「日本経済再生本部」と「未来投資会議」が廃止され、「成長戦略会議」が設置されます。20年「成長戦略実行計画」を見ると、「中小企業の事業再構築・事業再生の環境整備」として、中小企業の私的整理等、個人破産への対応が取り上げられているほか、「足腰の強い中小企業の構築」では中小企業の円滑な事業承継を後押しするとともに、中小企業がM&Aの支援を適切に活用できる環境を整備する。いわゆる「中小企業再編論」のような記述が見られます。

 新しい資本主義実現会議の第1回の資料で、中小企業に関する記述を見てみると、政府の機能強化として「大企業と中小企業の共存共栄の環境整備」「下請け取引への監視強化」のほか、「三方良し」のステークホルダー重視として、「賃金・所得引き上げによる民間における分配」「働く人や中小・下請け企業への配慮」などがありました。今後、中小企業憲章の精神に沿った政策が望まれます。

(I)

「中小企業家しんぶん」 2021年 11月 15日号より

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