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実質賃金の低迷は非正規増が原因

 この10月に最低賃金が平均で28円引き上げられ930円になりましたが、これで実質賃金は大幅に増えるのでしょうか。

 OECD(経済協力開発機構)によると、先進国の実質賃金はこの30年間で1.3倍から1.6倍になっているのに対し、日本だけ横ばいと報告されています。1990年時点を100とすると、日本は106、スウェーデン161、イギリス148、米国142、デンマーク138、フランス135、オーストラリア134、カナダ133と大きく差がついています。

 下記の表を見ると実際の日本の実質賃金指数は1984年よりは上昇していますが、コロナ前比較で1989年から2019年を見ると4%低下しています。2000年からの20年で見ると9%も低下しています。

 最低賃金は時間給で比較できる2004年からの15年間で665円から2019年901円と236円、35%も上昇しているのにも関わらず、実質賃金は減少しています。

 GDPは名目では1989年の430兆円から30年間で2019年559兆円に増加していますが、2000年の535兆円からわずか24兆円増ですので、分配されていないと思われます。労働分配率を見てみると2000年から2017年比較で7%低下しています。特に資本金10億円以上の大企業の分配率が51.7%と、9.1%も低下しています。中小企業の多くの中規模では74.2%と5.3%減ですので半分程度です。

 なぜ低下したかを探ると、やはり非正規雇用が増えたからという結果が数字に見てとれます。1985年プラザ合意の時に派遣労働が解禁され、非正規労働者は2019年まで増え続けており(2020年はコロナで減少)、1984年804万人から2019年2,165万人と1,361万人増加、2000年からでも1,273万人から892万人も増加しています。労働者に占める非正規割合は2019年38.3%と30年間で18%増、2000年からの20年で12.6%も増えたことが、実質賃金の低下を招いていることがわかります。

表 実質賃金との比較

「中小企業家しんぶん」 2021年 11月 25日号より

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