【連載】中小企業における若者の人材確保を応援する「ユースエール認定制度」について 最終回 ユースエール認定企業にきく

 9月5日号より、全3回にわたり、厚生労働省が所管する「ユースエール認定制度」をご紹介してきました。最終回となる今回は「ユースエール認定企業にきく」と題し、実際にユースエール認定を取得している同友会会員企業の声をお届けします。

(株)タスクフォース(神奈川同友会会員)

認定年月日:平成30年6月25日、認定継続年数:3年

―取得のきっかけを教えてください

 働きやすい職場をめざして取り組んでいる企業だということを、言葉だけでなく認定を取ることで求職者・学生(またはその親)へ効果的に伝えることができると思いました。また、当時は認定を取得している企業も少なかったので、他社との差別化にもなると思い先駆けて取得しました。

―従業員の反応はいかがでしょうか。また、働き方の変化はありましたか

 社員の反応や働き方の変化は特にないです。取得のために新たに取り組んだ大きなこともなく、いろいろ取り組んできた中で気づいたら基準を満たしていたという感じです。ただ、認定が維持できているのは、働きやすい職場づくりを社員がコツコツと継続・改善してくれているおかげです。

―ユースエール認定を取得したことによる効果を教えてください

 まずは、取得目的である求職者に対するアピールポイントの1つになっています。また、ハローワーク関連の求人では、認定企業枠で合同企業説明会に参加する機会が増え、求職者の紹介も優先的にしていただけるとのことで、全体の応募数が以前に比べて増えました。結果として採用にもしっかりとつながっています。

大分デバイステクノロジー(株)(大分同友会会員)

認定年月日:平成28年6月9日 認定継続年数:5年

―取得のきっかけを教えてください

 当初のきっかけは「新卒者の採用対策」でした。

 当社は1994年からほぼ毎年新卒採用を行っていたのですが、2012年ごろになって急に新卒者の応募が激減し始めました。本格的な採用活動を開始する中で、ユースエール認定の存在を耳にし、学生向けのアピールを目的に認定に向け動きました。

 提出資料の準備は大変でしたが、認定条件自体はクリアできており、結果として2016年に大分県第1号で認定を受けました。

―従業員の反応はいかがでしょうか。また、働き方の変化はありましたか

 認定条件については、従来のものと大きな隔たりは無かったこともあり、認定を取得したことによる特別な変化はありませんでした。

ただ県内第1号認定ということで地元新聞にも取り上げられたことで、社内の雰囲気は盛り上がりました。

また、以降も認定を継続する上では、働き方の改善を続けるよい目標にはなっています。

―ユースエール認定を取得したことによる効果を教えてください

 一番の効果としては、当初の課題であった採用問題が解決したことです。さらに中途採用の募集においても、自然と応募が増えるようになり効果は非常に大きかったと思います。

 いかがでしたでしょうか。

 ユースエール認定制度は、国が中小企業の情報発信を後押しすることにより、中小企業と若者とのマッチング向上を図ることをめざした制度ですが、認定による効果としては、単に人材確保や職場定着などの問題解決につながるだけではありません。認定を維持すること自体が自然と働きやすい職場づくりに結びつくこととなり、働き方改革が重要視される昨今において、企業にとっても、そこで働く従業員にとっても、大変意義深い制度と言えるのではないでしょうか。

 今回ご紹介した企業では、認定取得前から残業時間や有休取得等の基準をクリアされていましたが、基準をクリアしているかどうかわからない、うちは難しいとお考えの企業様も、一度、労働局やハローワークにご相談下さい。仮に基準を満たしていない場合であっても、認定取得に向けた課題の整理や解決のためのご提案・ご助言をさせていただきます。

 働きやすさが求められる時代です。求職者にも従業員にも選ばれる企業をめざして、ぜひとも、ユースエール認定の申請をご検討ください。

厚生労働省人材開発統括官若年者・キャリア形成支援担当参事官
TEL:03―3597―0331

「中小企業家しんぶん」 2021年 12月 15日号より