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インフレの足音がでも、弱い?~物価が動くには何が必要か

 世界的に物価上昇が問題になっています。わが国では、2013年の異次元緩和の開始以来、1度もなかった2%のインフレが現実味を帯びてきました。まさに某週刊誌のタイトルの「インフレ到来」です。このところ物価上昇要因が目白押しだからです。

 第1に、世界で物価上昇が著しくなっています。消費者物価上昇率は11月が、ユーロ圏4.9%、英国5.1%、ドイツ5.2%などですが、12月の米国が7%になり、39年半ぶりの高水準です。1年前、FRB(米国連邦準備理事会)は2021年末のインフレ率を1.8%と予測していましたが、中央銀行がこれほど大きくはずすのは珍しいといえます。

 第2に、日本でも物価上昇が始まったと見られます。

僅少ながら、わが国にも物価上昇の波が及んできました。11月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は0.5%上昇しました。4カ月連続でプラス(日本経済新聞、2022年1月21日付)。もっとも、景気の回復で先行する米欧の5~6%前後の高インフレとはなお差はありますが。

 また、11月の企業物価指数は前年同月比9.0%上昇し、41年ぶりの上昇率を記録しました。これを段階別にみると素原材料74.6%、中間財15.7%、最終財4.6%となっており、川上の輸入物価から物価上昇が波及してきていることを示しています。価格転嫁がどこまで広がるかが今後の物価の行方を占うことになります。

 第3に、携帯電話料金の値下げの影響があります。携帯電話大手が21年春から格安プランを導入した影響で携帯通信料が33.3%下がり、通信料値下げで指数を0.9%ポイント押し下げました。この影響は大きいものがあります。

 第4に、金融の異次元緩和が続いています。しかも日銀は、消費者物価上昇率が2%を上回っても、すぐに金融政策を変えることはないと言明しています。

 このように物価上昇要因は盛りだくさん。しかも、米金利上げは前倒しで実施される見通しです。FRBは昨年12月15日、量的緩和縮小の加速を決め、終了時期を前倒しし、2022年中に計3~4回の政策金利の引き上げを見込んでいます。利上げが始まれば、円安が進む可能性は固く、円安が進めば、輸入品価格の上昇がさらに進むでしょう(日本経済新聞、2021年12月17日付)。

 しかし、物価上昇による実質的な購買力への圧力は、高インフレの米欧に比べて日本では限定的です。

 先行きは、携帯電話通信料による物価への下押し圧力と、エネルギー価格の押上げ圧力は2022年4月以降、剥落していくと見られます。物価が加速するためには、一段のエネルギー価格の上昇や、需要拡大に伴う物価の上昇圧力が必要になるでしょう。ですが、足元の物価上昇からは、米欧ほどインフレが高まるとは想定しがたいのです。

 日本の物価上昇率は相対的にまだ低く、欧米ほど上昇しないとみられます。

(U)

「中小企業家しんぶん」 2022年 2月 15日号より

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