ウクライナ侵略戦争 問題の核心はどこに 緊急オンラインセミナー【北海道】

 北海道同友会は3月30日、「ウクライナ侵攻 その背景と問題の核心」と題した緊急オンラインセミナーを開催しました。

 世界中の人々が悲惨な報道に胸を痛める中、中同協は経営者団体としていち早く、3月8日に「ウクライナ侵攻の無条件・即時撤退」を求める広浜泰久会長の談話を発表。会内外に共感を呼んでいます。

 一方、「なぜロシアが戦後国際社会の枠組みを根底から覆す暴挙に出たのか」という点など、「断片的な情報では戦争に至る背景と問題の核心がわからない」という声もあり、緊急に企画されたものです。

 当日は国際政治と安全保障が専門の北海道大学遠藤乾教授をお招きし、道外の会員を含め130名が参加しました。

 講演では、「今回の戦争は2月24日に始まったが、ウクライナから見ると、2014年のロシアによるクリミヤ簒奪から続く8年戦争。プーチン大統領が掲げる戦争の理由は、ウクライナに大量破壊兵器があり、ジェノサイドの恐れがあるための人道的介入とまさに“復讐の模倣”。NATOの東方拡大がロシアを追い詰めたという面は完全否定できないが、追い込まれたら人を殴ってよいとなれば、真珠湾攻撃もナチスも免罪されることになる。暴力的な現状変更に対して黙っているのは認めたことと同義であり、赤裸々な侵略に対して一番苦しんでいるのはウクライナの人々。戦争は人権侵害の塊である」と強調しました。

 また、「力と意思を持つ権威主義国が同じような危機をもたらさないかという懸念については、簡単にウクライナ化しないという見通しの下、慎重に考えるべき」と語りました。

 閉会のあいさつに立った池川和人代表理事は、「遠藤教授は4月から東京大学教授に転任される引越しのさなかで講演をお引き受けいただいた。道外から50名以上の方が参加されたことに感謝するとともに、中小企業は平和の中でしか存続できないことを再確認したい」と述べました。

 なお今回の参加費は全額、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)へ送られます。

「中小企業家しんぶん」 2022年 4月 15日号より