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【同友会景況調査(DOR)概要(2022年1~3月期)】仕入価格高騰、価格転嫁が喫緊の課題、ウクライナ危機はビジネスに異変を起す

〈調査要項〉

調査時点 2022年3月1~15日
調査対象 2,203社
回答企業 871社(回答率39.5%)(建設155社、製造業276社、流通・商業252社、サービス業179社、その他9社)
平均従業員数 (1)36.9人(役員含む・正規従業員)(2)36.4人(臨時・パート・アルバイト)
※業況判断DI(デフュージョン・インデックス)は、好転企業が悪化企業を上回っている割合(%)をさす。DIが100に近いほど、好転企業の割合が高いことを意味し、DIが-100に近いほど、悪化企業の割合が高いことを意味している。

 好転・悪化が同数の場合は、DIは0となる。ほかの指標のDIも同じ考えで作成されている。各水準DI以外、本文中特に断りがないものは前年同期比。

情勢変化を反映し、景気は減速

2022年3月9日に内閣府が発表した2021年10~12月期の国内総生産(GDP)は年率換算で4.6%増となりました。2021年通年は1.6%増で、3年ぶりのプラス成長となりました。

日銀の3月短観(全国企業短期経済観測調査)では、大企業製造業の業況判断指数(DI)はプラス14で前回調査より悪化、中小企業製造業も△4、非製造業は△6でマイナス圏のまま、さらに悪化しました(図1)。

DORでも主要指標は悪化

業況判断DI(「好転」-「悪化」割合)は8→△7、足元の業況を示す業況水準DI(「良い」-「悪い」割合)は4→△12と前期の好転から一転、大きく悪化しました。

業況判断DIを業種別でみると、建設業は0→△22、製造業は15→△1、流通・商業は0→△9、サービス業は13→1で建設業の悪化が目立ちました(図2)。また、すべての地域経済圏、企業規模で悪化し、次期(2022年4~6月期)は今期と同程度、もしくは若干持ち直す見通しとなっています。

売上高DI、経常利益DI(両指標ともに「増加」-「悪化」割合、10→△1、△1→△11)と2桁減、採算水準DI(「黒字」-「赤字」割合)は29→20と黒字化が弱まりました。

仕入単価の上昇圧力が強まる

仕入単価DI(「上昇」-「下降」割合)は、35→45→62→68と上昇が続き、中でも製造業と建設業の上昇圧力は非常に厳しいものとなっています。売上・客単価DI(「上昇」-「下降」割合)も9→11→19→24と上昇していますが、海外経済の回復に伴う需要増、コロナ禍における海外製品の供給不足、さらに海運など物流の停滞、円安やロシアのウクライナ侵攻など、原材料価格の上昇圧力は一層高まることが予想されており、価格転嫁の実現は経営継続において重要課題となっています(図3)。

サービス業で資金繰りの余裕感が失われる

資金繰りDI(「余裕」-「窮屈」割合)は24→21とわずかに余裕感が失われ、とくにサービス業では30→13と急速に余裕感が失われました。

また、資金の借入難度をみると、全体としては大きな変化はみられなかったものの、短期資金の借入難度がサービス業で高まる一方、建設業では長短金利とも借入難度が容易化するなど、業種ごとの差異もみられました(図4)。

設備の不足感が強まり、人材不足感も継続

設備投資の実施割合は35%で前期に見込んでいた計画割合を下回りました。中でも製造業の予測と実績の乖離がみられました。しかしながら、設備の不足感は強まり、コロナ禍前の水準となりました。製造業の不足感が強まっていることから、国内外の情勢変化などで実施に踏み込めない現状が示されている可能性もあります。

雇用面では、正規従業員数DI、臨時・パート・アルバイトDI、所定外労働時間DI(3指標ともに「増加」-「減少」割合)は減少しました。今期は人材の不足感は継続していますが、若干緩和されました。

潮流変化に合わせて経営体質の強化を

原材料費高騰の影響は、ますます深刻化しています。「仕入単価の上昇」を経営上の問題点と指摘する割合が7期連測で上昇し、今期は55%と、1990年の調査開始以来最も高くなっています。自由回答でも仕入価格上昇に価格転嫁が追い付かないという声は全国的に増えており、建設業と製造業でその傾向が強く、この2業種では7割近い企業で「仕入単価の上昇」を問題点として挙げています(図5)。

また、経営上の力点は「新規受注(顧客)の確保」(59%)、「付加価値の増大」(53%)、「社員教育」、「人材確保」(いずれも37%)、「新事業の展開」(22%)が多く指摘されました。今期はオミクロン株の感染拡大により、再び営業自粛を余儀なくされたことや、原材料費高騰などによるコスト増、世界情勢不安なども重なり、より長期的な視点を持って対応しようとするコメントもみられます。潮流変化に合わせて経営体質の強化を図りながら、自社の強みをどう生かしていくか、経営のかじ取りがよりシビアに求められています。

<会員企業の取り組み~原材料費値上げと価格転嫁等への対応>

〇(1)卸会社と協力して相互に物流基地の利用を可能とし、配送の効率化をはかった。(2)取扱い油種を追加して新規の顧客獲得を図った。(3)配送車の容量を増やして配送可能件数を増やした。(4)ガス検針をIT補助金により無線でのデータ収集へ移行、省力化を図った。など(青森、流通・商業)
○価格転嫁交渉を最優先。さらに材料代が上がるため、再度、再々度の交渉が必要です。次回以降には賃上げ分も含めることを検討中です。(千葉、製造業)
○リードタイムのない大きな値上げに対し強く抗議し値上げ時期幅を縮小させた。今後仕入れルートの見直しと仲間での協同購入なども視野に入れることも検討する。(愛知、製造業)
○グローバルでの物流混乱があり昨年末から通(つう かん)凾(つう かん)が未返却で即対応。即納品、段ボール製品の増加etc全社あげての機動性が生き、当社にプラスに働いた。(略)ただし4月以降に仕入れ材料製品の大幅値上げがある予定で不安要素を残している。(三重、製造業)
○トラック運送業においては、燃料価格上昇によるコスト増加の影響も含めて、営業利益と経常利益が圧迫され続けています。取引先の荷主さんが、M&Aで事業変革をされた中、新しい生産事業の拡大に伴う物流業務の依頼をいただきました。お互いの連携による事業展開の効率化と人手不足の解決策ができるように進めています。(奈良、流通・商業)

「中小企業家しんぶん」 2022年 5月 5日号より

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