【変革と挑戦】金融機関との連携で自社分析~ローカルベンチマークを活用した勉強会【京都】

 京都同友会は2017年12月15日に(株)京都銀行、京都中央信用金庫、京都信用金庫の3行庫それぞれと中小企業支援に関する包括連携協定を締結しました。連携して活動する内容は、(1)中小企業等への情報の提供(2)相互の研修等への参加、講師派遣(3)地域における経済情報、動向等に関する情報交換(4)その他中小企業等への支援に寄与する事項となっています。

 この協定に基づいて、京都同友会南支部では年に2回、京都市南区にある3行庫の支店を訪問し、同友会の事業案内やお互いの景況感を交流する活動を始めました。また、同時に始めたローカルベンチマーク(以下、ロカベン)を活用した勉強会には京都中央信用金庫、京都信用金庫の2金庫より職員が参加しました。

 ロカベンの勉強会を企画したのは、経営指針成文化講座で作成した理念やビジョンを、方針・計画に反映する段階で分析が不足しているため苦労する場合が多かったためです。講師は会員の税理士にお願いし、2020年からは前年に受講した会員や2金庫の職員が受講者のサポートに回り取り組みを広げていき、2019年は7社、2020年は14社、2021年は16社の会員企業がロカベン勉強会に参加しました。

 そして2022年5月には「ロカベンを勉強してみて感じたこと」~恥ずかしがらずに話してみたら、自社は変わった~と題して、取り組みの総括となる例会を開催しました。受講生2名、京都中央信用金庫、京都信用金庫の2金庫から1名ずつ、講師を務めていただいた2名の方が登壇しました。

 受講生からは、「代表を継承する前でどこか他人事だった会社経営が、ロカベンの勉強会に参加して具体的にイメージできるようになった。自分が変わる必要性を強く感じ同友会で経営指針書を作成し社員と共有することができた」「非常に面白く自社分析ができた。分析結果を経営指針書に掲載することで社員と数字が共有しやすくなった」との報告がありました。また2金庫からは「経営者が真剣に勉強している姿を見て刺激を受けた。庫内の若手職員のモチベーションアップにもつながる」「共に学んで信頼関係を醸成していきたい」との感想や、金融機関への要望・質問についても真摯に答えていただきました。

 このような取り組みを通じて、金融機関と南支部の連携はますます深まり、共同でのマルシェの開催や入会候補者の紹介へと広がりつつあります。

 南支部でのロカベン勉強会は2021年度でいったん区切りとし、2022年度は範囲を京都同友会全体に広げて研修会を開催します。ロカベンを金融機関や顧問税理士とのコミュニケーションの糸口として活用できるツールと位置づけ、今後も取り組みを広げていきます。

「中小企業家しんぶん」 2022年 8月 5日号より