同友エコ2021受賞企業を紹介する連載。第1回目となる今回は、会長賞を受賞した山梨住宅工業(株)(北原正倫代表取締役社長、山梨同友会会員)の取り組みを紹介します。
環境ISO取得から始まる環境経営
山梨住宅工業(北原正倫氏、山梨同友会環境経営委員長)は、山梨県北杜市に工場を構え、住宅用パネル、集成材、木質ペレットなど、「木と木、木とそれ以外のモノを接なぐ」製品を作っています。時代に先駆け、2001年にISO14001認証を取得しました。ここから環境への意識が社内に浸透し、現在に至ります。歴代の環境管理責任者がその実践の先頭に立っています。
総原価低減が環境経営の源に
同社の環境経営の特徴は、「もったいない」を発想の原点とする多彩な取り組みです。
製品にする原材料は持続可能な森林経営を行う北欧フィンランドから直輸入、PEFC(持続可能な森林管理の促進をめざす森林認証制度)認証材を使用しています。端材もつないだり再加工したりして製品としての再利用の方法を常に研究しています。
工場の稼働に必要な熱源は、20年ほど前から木質バイオマスボイラーを導入しています。以前は重油を1カ月約3000リットル、金額にすると月約15~20万円ほど消費していましたが、燃料を木端材に切り替えたことにより冬季暖房の9割もの経費削減につながりました。さらに木くずや鉋くずを加工プラントでストーブ用燃料ペレットにし、小売価格10キログラム500円で販売して付加価値を得ています。
節電にも積極的です。工場では機械の間欠運転がなされ、次のワークが待機している間、コンベアを止めることで電力消費を抑えます。照明も蛍光灯をLEDに切り替えました。年間で電気使用量10万9200キロワット時、CO2排出量2948キログラムを削減し、電気料金も約204万円削減しています。
環境教育への努力
ISO14001取得の際には朝礼で全社員が教本を読み合わせるなど、教育の時間を作りました。方針を「エネルギーと廃棄物を柱に削減」と単純化することで社員の意識も変わり、ゴミの分別や裏紙使用などに積極的に取り組むようになりました。朝礼での学習は今も続いており、毎月発行の社内報や紙面朝礼に環境トピックスを掲載し、環境への意識を高めています。
さらに、エネルギー使用量、リサイクル費や廃棄物の運搬費などに拠出した費用を環境会計としてまとめ、自分たちがどれだけCO2と経費を削減したのか分析しています。
また、求職者の志望動機に環境経営への共感が記載されているケースも多く、求人にもつながっています。
同友エコ大賞を受賞して
総原価低減が環境経営の発想の原点と北原氏は語ります。もったいない、まだ活用できる、という視点が利益拡大、環境経営に生かされています。
同社は2021年度同友エコの大賞を受賞しました。
同社グループの2030年ビジョン「きづかいで地球のお役に立つ企業」の実現に向けて環境経営を進化させるべく、新会社の立ち上げ、端材を燃料とした移動式サウナプロジェクト(軽トラックの荷台に設置するサウナ)も展開しています。強靭な企業づくりと地球環境保全を両輪として、環境経営を前進させます。
会社概要
設立年:1969年
資本金:2,000万円
事業内容:住宅用構成材(パネル、部材)、ペレット製造
URL:https://330yamanashi.jp/
「中小企業家しんぶん」 2022年 9月 15日号より