少子化をどう止めるのか

 日本の少子化の流れが止まりません。国勢調査による22年1~6月の出生数などの結果が発表されましたが、 出生数は前年比5.0%減の38万4,942人と上半期で初めて40万人を割りました。婚姻数はコロナ感染拡大に伴い減少する中、26万5,593組と0.1%増加するも19年比では5万組以上減少しています。

 子どもの数が増えない原因は、出産期相当の女性人口の減少、結婚する人の割合の減少、結婚した人が産む子どもの数の減少の3つと言われています。データで確認すると表1のとおりですが、なぜ結婚しない人が増えているのかを考えてみると、「結婚したくない」は28%程度で、「結婚したい」は72%もいますが、「婚活ができていない」が43%もいることが大きい原因と考えられ、「相手と出会えない」も5%以上います。

 国立人口問題研究所の出生動向調査から未婚者の独身でいる理由を見ると、男女共に1位が「適当な相手にまだめぐり合わない」(20代で配偶者や恋人がいない割合は女性で5割、男性で7割)、2位が「結婚する必要性をまだ感じない」、男性3位は「結婚資金が足りない」で、女性は「今はまだ仕事にうちこみたい」と差があります。仕事上の差別と男性の非正規の増加が大きいことが分かります(表2)。日本総研の6,000人アンケートの分析からも結婚したくない理由の最大が生活面の制約、非正規男性の年収の低さが大きく、女性の結婚相手の許容できないラインが年収200万円台とやはり非正規では結婚しないことがはっきりしています。また、なぜ子どもの数が減っているのかですが、子どもを2人にしない理由について子育てや教育費用がかかると56%が回答しています。小学生でも中学受験の3年間の塾代は250万円と、子育てや教育に費用がかかることが大きく影響しています。

 出会いの場をつくる努力と同時に企業として非正規を減らし、教育に十分費用が使えるような待遇改善に努め、1社でも多く社員の子どもの数が増えることを経営方針に盛り込む企業が増えなければ少子化に歯止めはかかりません。

「中小企業家しんぶん」 2022年 9月 25日号より
2022年10月訂正