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経営者保証「制限」の方向へ 長年の同友会運動の成果

 金融庁は金融機関が中小企業向け融資に際して経営者保証を求める場合は、丁寧な説明を行うことなどを求める方針を打ち出しました。2023年4月から実施の予定です。

 経営者保証については、2013年に全国銀行協会と日本商工会議所が中心となった研究会が「経営者保証に関するガイドライン」を策定し、金融庁も経営者保証に依存しないように金融機関に要請してきました。

 「経営者保証に関するガイドライン」では、経営者保証解除の要件として次の3つを掲げています。

 (1)資産の所有やお金のやりとりに関し、法人と経営者の関係を明確に分ける。
 (2)法人のみの資産や収益力で返済が可能となるよう、財務基盤を強化する。
 (3)金融機関への財務情報の適時適切な開示等により、経営の透明性を確保。

 11月1日に公表された金融庁の「監督指針」の一部改正(案)では、経営者保証を締結する際に経営者に対して次のような点を説明し、また説明したことを記録に残すことを新たに追加しています。

 (1)どの部分が十分ではないために保証契約が必要となるのか、個別具体の内容。
 (2)どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか、個別具体の内容。

 つまり、「経営者保証に関するガイドライン」の3要件が満たされていれば、金融機関は経営者保証をとることなく融資をすべきであり、3要件が満たされていない場合は、どこをどのように改善すれば経営者保証を解除できるのかを金融機関は説明しなければいけないということを明確に打ち出したのです。

 これは、同友会が長年求めてきた「人的保証に依存しない金融制度の確立」を進める上で大きな前進と言えます。中同協や各同友会は、1990年代の金融危機の中で、金融機関による「貸し渋り」「貸しはがし」が広がる中、金融アセスメント法(「地域と中小企業の金融環境を活性化させる法律案」仮称)の制定を求めて運動を行いました。その中で、物的担保優先や個人保証による融資の割合を減らし、中小企業の潜在能力や事業性の評価による融資を拡大することなどを要望、その後も毎年の「政策要望」などにも盛り込んできました。

 金融アセスメント法は成立しませんでしたが、同友会の運動は国の政策を動かし、その後の金融行政も大きく変化してきました。今回の動きも長年の運動の成果と言えます。

 一方、新規融資に占める無保証融資の割合は29・9%とまだ低水準です(2021年度、金融庁)。また、新規融資において経営者保証を行う際に、金融機関からガイドラインの説明を受けたと回答した事業者は33%にとどまっています(2020年度、中小企業庁)。さらには今回の監督指針改正により、金融機関が融資に消極的になることを懸念する声もあります。

 人的保証に依存しない金融制度の確立に向けて、引き続き同友会としても関係機関に働きかけをすすめるとともに、中小企業としても「経営者保証に関するガイドライン」の3要件を満たすような企業づくりを進め、金融機関との信頼関係を強固なものにしていく努力が一層求められているとも言えます。

(KS)

「中小企業家しんぶん」 2022年 11月 15日号より

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