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人材育成を経営の柱に、独立企業をめざす(前編)(株)丸忠 代表取締役 喜納 朝勝氏 (沖縄)

【黒瀬直宏が迫る 中小企業を働きがいのある職場に】

 黒瀬直宏・嘉悦大学元教授(特定非営利活動法人アジア中小企業協力機構理事長)が、中小企業の働きがいをキーワードに魅力ある中小企業を取材し、紹介する本連載。今回は、(株)丸忠(喜納朝勝代表取締役、沖縄同友会会員)の取り組み(前編)を紹介します。

経営の安定基盤と発展基盤

 (株)丸忠(代表取締役喜納朝勝氏、沖縄県浦添市、従業員41人)には3つの事業部門があります。喜納社長の義父がクリーニング事業で創業(1970年、77年法人化)後、「リースキン」を展開している企業の代表者と知り合い、80年、沖縄のリースキン事業(玄関マット、モップ等家庭用・業務用ダストコントロール製品のレンタル)の総代理店となりました。これが現在の経営の主力で売上の70%を占めます。その後クリーニング事業から撤退する一方、ハウスケア事業(ワックス、カーペットクリーニング、エアコン清掃、殺菌・抗菌システム施工等、現在売上の10%)とトータルコーティング事業(新築住宅のフロアコーティング、水回りコーティング、遮熱ガラスフィルム等、同売上の15%)に進出しました。

 リースキン事業からの着実な収益を経営の安定基盤にし、自ら新事業を開拓しているハウスケア、トータルコーティング分野を、独立企業への発展基盤にしています。

企業家活動の展開

 ハウスケア、トータルコーティング事業では「エアコンの掃除はできない」といった顧客の声に基づくエアコン清掃や、部屋の床をコーティングする事業の担当者が日差しで床が日焼けする困りごとに気づき、ガラスにフィルムを施工する事業を思いつくなど、社員が現場発の「場面情報」を基に新事業を開拓しています。防カビのための水回りや壁のコーティングも社員の発案でした。また、コーティング事業ではマンションディベロッパーと契約し、マンション購入者へのオプションサービスとするビジネスモデルを編み出しました。喜納社長の自宅を体感ルームにし、実際に人が住んでいる場で効果を確かめてもらい、訪れた客は100%契約に持ち込むというマーケティングも展開しています。「新しいことを行う」ことを企業家活動と呼ぶと、企業家活動により独立企業への発展に向かっています。

 (株)丸忠の年商推移は、2019年6月期4億1600万円、20年4億1800万円、21年4億6100万円、22年4億2400万円とコロナ禍においても順調に推移しています。その理由の一つが「ハロフォガー」という室内空間を短時間で丸ごと殺菌し、新型コロナウイルスにも効果を発揮する装置を商材に導入したことです。この装置に関する情報を後継ぎとなる喜納社長の長女の夫が寄せ、提供する企業との社員参加のZOOM会議で導入を即決しました。企業家活動がコロナ禍においても売上を順調に推移させたと言えます。

 丸忠では自分で考え自分で行動する社員が企業家活動の原動力になっています。ですが、当初からこのような社員に恵まれていたわけではなく、経営状況も褒められたものではありませんでした。

人材育成を経営の柱に

 喜納氏が義父の要請で1991年に丸忠に入社して分かったのは、売上1・8億円に対し借入が3億円近くもあることでした。再建支援を頼んだリースキン事業の本社からは喜納氏の社長就任を条件として出されましたが、義父がそれを受けなかったため、95年に喜納氏は一度退社、「もう任せる」との再度の義父の要請で97年に再入社しました(2001年社長就任)。このころは資金繰りのために仕事をしているようなもので、社長交代前の腎臓がん治療で出たがん保険金1000万円も資金繰りにあっという間に消えたそうです。ただし、給料だけはしっかり払い続け、前向きの発展策も考えました。

 柱にしたのが人材の育成でした。人材育成に設備投資の必要はなく、資金がなくてもできるはずと思いました。目標を「自分で考え自分で行動する人材」に置きました。自律的な働き方をしてこそ人生は楽しい。人に言われたことをやるだけだったらサイボーグにすぎないという考えからです。発展策のもう一つの柱が社員間の協力です。成長した人々も助け合わないと力は発揮できません。社員個々の成長と協力関係が合わさって企業の革新が進むと考えました。

(後編につづく)

会社概要

設立:1977年
資本金:4,800万円
従業員数:41名
事業内容:リースキン事業(家庭用、業務用ダストコントロール商品のレンタル)、ハウスケア事業(事務所・店舗クリーニング、ハウスクリーニング)、トータルコーティング事業(新築住宅のフロアコーディング、水回りコーティング、窓ガラス断熱フィルム施工)など

「中小企業家しんぶん」 2023年 1月 15日号より

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