やさしさが引き出される障害者雇用 内田 五郎氏((株)ゴローズ・プロダクツ社長)が明学大で講演

やさしさが引き出される障害者雇用
内田五郎氏((株)ゴローズ・プロダクツ社長)が明学大で講演

 明治学院大学社会学部の「都市部における地域社会の活性化への取り組み/共生社会実現への教育支援と障害者雇用」プロジェクト(文部科学省の2005年度現代的教育ニーズ取り組み支援プログラム採択)が主催したもので、学生や教職員など約150名が参加ました。

 内田氏は、ろう学校卒の女性を初めて採用したときは、一緒に働く社員たちが自発的に手話教室に通っていることを知り、「いつも社員から教えられる」といい、知的障害のある女性の採用では、はじめ仕事はなかなか覚えられなかったが、3年もたつと、だれよりもできるようになったこと、その彼女が親の事情で会社を辞めざるをえなくなったとき、社員たちが心のこもった歓送会を開いたことなど、同社における育ちあいの数々を紹介。最後に、「人間の優しさがどんどん引き出された」「スーパースターばかりでは企業は成り立たない。さまざまな個性をもった多様な人間によって企業は支えられている」「企業には、社員の人生や地域に責任があり、そのためにも利益を出すことは必要」とまとめました。

 参加した学生からは、「社員の人生を丸ごと預かり、人間として育てているところに心打たれた」「効率や利益の追求だけでなく、こんな会社があることを知ってうれしかった」「スーパースターしか必要ないのかと、これから社会に出ていくうえで不安だったが、そうでない人も必要だといわれ、救われた」など、こもごも感想が語られました。

 この講演会は、中小企業における障害者雇用の実際を見学したいと、同プロジェクトの先生方3名が東京同友会障害者問題委員会の紹介で2月20日、宮崎の(株)ゴローズ・プロダクツを訪問したことがきっかけ。同社を訪れた八木原律子助教授は、「老若男女がごく当たり前にお互いの役割を担い、人々に期待され自信を持って生活していた時代を彷彿とさせる。そんな地域密着型の町の縮図が継承されていることに気づきます。障害者雇用と大上段に構えないネットワークが、自然な形で存在することに感激し、温かさを一杯いただきました」(「同友みやざき」3月10日付)と感想を寄せています。

「中小企業家しんぶん」 2006年 6月 25日号より