「中小企業魅力発信月間セミナー」 経営環境改善に向けた運動の歴史を学ぶ【大分】

大分同友会は、7月26日にハイブリッドで「中小企業魅力発信月間企画」として、セミナーを開催。会員30名、金融機関21名、金融庁3名の54名が参加しました。

金融庁などが策定した「経営者保証改革プログラム」が2022年12月に公表されました。経営者保証に依存しない融資慣行の確立加速をねらいとしたもので、同友会が長年要望してきた運動が実現したものと言えます。そこで、このたび、中小企業魅力発信月間の取り組みとして、経営者保証改革プログラムの理解を深めるとともに、金融アセスメント法制定運動から続く同友会の運動の歴史を学ぶ機会としました。

最初に金融庁監督局総務課監督調査室の橋野永氏から経営者保証改革プログラムの概要について説明があり、その後会場とWEBの参加者から質疑応答を行いました。

続く基調講演は「経営者保証改革プログラムから考える金融機関との関係~金融アセスメント法制定運動の成果~」と題して福岡同友会の中村高明氏((株)紀之国屋会長)が金融アセスメント法制定運動までの経緯やその成果について報告しました。バブル経済の崩壊によって金融危機になり銀行の倒産が増加すると、当時の金融監督庁が不良債権処理のために財務指標による金融検査マニュアルを制定し、金融機関による貸し渋り・貸しはがしが横行。中小企業経営者の自殺まで発生しました。そんな中、金融アセスメント法制定運動を福岡同友会から声を上げ開始します。やがて全国で100万名の署名を集め国会へ請願に至り、併せて地方議会から意見書提出の運動も進め、その結果、リレーションシップバンキングの機能強化へとつながりました。その後、金融庁は2018年に金融検査マニュアルを廃止し金融アセスメント法を参考に「金融仲介機能のベンチマーク」を開示する指導に変化。そして2022年に金融庁・中小企業庁等が経営者保証改革プログラムを発表しました。こうした同友会の経営環境改善運動の成果が熱く語られ、参加者は学びを深めました。

中村氏は最後に、㈠経営面の行動として、㋑地域づくりに貢献する事業へ戦略の見直し ㋺経営指針の成文化、ローカルベンチマーク、経営デザインシートの作成 ㋩DX化、省力 ㋥経営者保証ガイドラインの遵守と黒字により自己資本比率20%以上をめざすこと。

㈡金融機関への行動として、㋑支店長を年4回程訪問し近況を報告する ㋺月次決算を必ず行い、試算表を少なくとも30日以内の物を提出できるようにする ㋩資金繰り表は直ちに提出できるようしておく ㋥決算終了後、貸借対照表、損益計算書を自ら説明し、経営指針書を説明する ㋭自身が急に亡くなった時、個人保証は相続で家族に移転するので返済をどのようにするか生命保険等で対処しておく ㋬後継者の育成を常に考え行動することが重要であると語り、金融環境の変化により、経営者の資質が一段と求められている中、経営者のとるべき行動を提起しました。

会員だけでなく金融機関職員も同友会が提言してきた金融アセスメント法制定運動の貴重な成果と金融環境改善に向けた同友会の取り組みを改めて学びました。

「中小企業家しんぶん」 2023年 9月 5日号より