【企業変革支援プログラムの活用】 
企業変革支援プログラムの活用で、経営指針に基づく経営を実践する

 中同協は、2022年10月に『企業変革支援プログラムVer.2』を発刊しました。今回は、福留進一・鹿児島同友会副代表理事の活用事例を紹介します。

 弊社で企業変革支援プログラムを最初に導入したのは2012年でした。当時、私自身が最初にセルフチェックを実施し、その結果を基に5つのカテゴリーに分けてグループワークを行いました。具体的には、私が1つのカテゴリーのセルフチェックの結果を30分ほど発表し、その後、私を除いた小グループで討論を行い、スコアを付けるというスタイルで進めました。討論中は、横で言葉を発せずにひたすらみんなの意見をじっと聞いていました。この初回の体験は今でも忘れられません。私の課題意識と、みんながグループワークで議論した課題との間に大きなギャップがあることに驚かされたのです。この経験から、まずは社内での意識の摺り合わせが極めて重要であると気づきました。

 この初回のチェックで44個の課題が見つかり、それを数年かけて全て解決しました。2013年、2014年も同様に実施し、その過程で企業変革支援プログラムの各カテゴリーを日本経営品質賞のアセスメント基準書に割り当てた評価も実施しました。その結果、鹿児島県経営品質賞で優秀賞を受賞し、企業変革支援プログラムの有効性が他のフレームワークと比較しても確かなものであることが証明されました。

 さらに、『ステップ2』も導入し、より深く理解を進めることでスコアの見直しを行うことができました。チェックプロセスを単発で行うのでなく継続した結果、2019年には鹿児島県経営品質賞の最高賞である知事賞も受賞しました。経営の成熟度によって、同じチェックを実施してもその評価は常に異なりますから、継続実施することによって永遠に変革を起こし続けることができると考えます。

 このような活動が評価されたのか、幸運にも中同協の企業変革支援プログラムの改訂プロジェクトのメンバーに任命されました。特にカテゴリーⅢの「人を生かす経営」を担当し、真剣な議論を通じて多くの学びを得ることができました。貴重な経験をさせていただき、心から感謝しています。

 弊社では、Ver.2リリース後、6人の幹部社員で担当割を行い、それぞれがセルフチェックを実施し、2日間の合宿を経て本質的な課題を導き出しました。カテゴリーの割り振りは、あえて普段の業務とは少し異なるカテゴリーを割り当てました。例えば、組織づくりを主に担当している私が、カテゴリーⅣの「市場・顧客及び自社の理解と対応」を担当するなどです。各カテゴリーから上がった課題をグループ化して、本質的な課題は何かを議論し、結果的に8つくらいの課題設定と担当を定め実施スケジュールを組みました。以下は、その実施後のプログラムに関する感想です。

 常務取締役開発本部長は、「経営品質のアセスメント基準書は抽象的で分かりにくいが、企業変革支援プログラムはヒントがあり、思考が進む」と述べています。また、専務取締役管理本部長は、「人事戦略について考える場を持てたことがよかった。組織のスケールに合わせてやり方を変えていこうと思う」との感想を述べています。

 私自身、企業変革支援プログラムを最初に見たときから、宝物に出合ったような感覚を覚えました。38歳で独立開業し、日々の業務に追われながらも、経営者の仕事とは何なのか常に考えていました。企業変革支援プログラムには、経営に必要な要素が全て含まれており、中小企業家同友会が培ってきた考え方やノウハウに基づいています。まだやったことがない方は、簡易なチェックからでもいいので、今すぐに実施して行動に移していただきたいと思います。

 継続的な実施によって毎年成熟度を上げれば、5年・10年で驚くべき変化が生まれると確信しています。企業変革支援プログラムを通じて企業の持続可能な成長を実現し、経営者と社員が一丸となって未来を切り開いていきましょう。

鹿児島同友会副代表理事/総務委員長、(株)現場サポート代表取締役社長 福留進一

「中小企業家しんぶん」 2024年 8月 5日号より