特集:第27回女性経営者全国交流会in大阪 
一人一人が輝く未来~大阪から始まる新たなHistory

6月13~14日、第27回女性経営者全国交流会(略称:女全交)が大阪で開催され、47同友会と中同協から1338名が参加しました。今回の特集では、開催地あいさつ、主催者あいさつ、まとめなどを紹介します。

開催地あいさつ
大阪同友会 代表理事 仁張 正之氏

全国の皆さま、ようこそ大阪にお越しくださいました。

女全交と大阪同友会には深い関係があります。女全交が大阪で開催されるのは今回で4回目となり、1回目は1985年開催の第1回婦人部全国代表者交流会、2003年開催の第10回、2013年開催の第16回、そして今回、2024年に第27回女全交を迎えました。

今回は47同友会から1338名に参加いただきました。そのうちリアル参加は1167名と、女全交として過去最高人数で開催することができました。

実行委員長をはじめ、分科会、記念講演の報告者の皆さんはすべて女性です。参加者の男女比は女性50・3%、男性49・7%となりました。

中小企業の経営環境は大変厳しいものになっており、企業経営がより深刻な状況を迎えているところも少なくありません。地震などの災害に対する備え、カーボンニュートラルに伴う社会変化、価格転嫁や賃上げ、デジタル化、インボイス制度への対応など新たな経営課題も出てきています。こんな時だからこそ知り合い、学び合い、助け合うこと、持続的に発展できる地域づくり・企業づくりが重要であることをよく認識して、分科会での学びと交流、記念講演での新たな気づきや視座、やる気を持って帰られることと期待しています。

大阪同友会では今回の女全交開催に向けて、約2年前から準備を進めてきました。大阪で全国行事が開催できたこと、全国の同友会会員さんが参加してくださったことに心から感謝申し上げます。

実行委員会メンバーにとって開催までのプロセスが大きな学びとなりました。女全交をやりきった結果として大阪同友会内で化学反応が起こり、明日からの学びの質や連帯感が高まることでしょう。一緒に経営の勉強をしませんか?と仲間を誘い、知り合い、今期大阪同友会は2400名の組織となっていくことと期待しています。

主催者あいさつ
中同協 会長 広浜 泰久氏

大阪での女全交開催は今回で4回目となり、中でも印象に残っているのは2003年第10回女全交で赤石義博・中同協元会長が「4つの期待」を問題提起されたことです。

「4つの期待」とは、(1)「生活者としての視点を大事にした経営」をすること、(2)「草の根経済の活性化の原動力」になること、(3)「平和の担い手」になること、(4)「同友会の原点に立った活動の重視」を深めることです。この「4つの期待」が20年以上経った現在ではどうなったか、私が感じたことは2つあります。

1つは、学びと実践が大きく進んだということです。私は第1分科会に参加し、強烈な借金地獄からV字回復した「ポンコツ経営から科学的経営へ」という報告を聞きました。報告の最後で、「経営指針を軸にし、月次決算の締めを5日以内にしていることが、自分が考える科学的経営です」とありましたが、こういう話は20年前には聞いたことがありませんでしたので、あらためて学びと実践が進んだと感じました。

2つ目は、現在の同友会は地域に責任を持つべき存在になっているということです。「失われた30年」と言われた中でも同友会はずっと発展し続けてきました。逆に言うと、私たち同友会は発展してきたけれど日本経済は失われた30年を過ごしてしまい、言い換えると日本経済や地域を変えるだけの力が同友会にはなかったということです。

今、同友会運動は広い範囲で地域と深く関わってきており、同友会の立ち位置は大きく変わってきています。まさに地域を活性化する先頭に立つ使命があると感じています。

この2日間の学びをそれぞれの地域に持ち帰り、1人1人が輝く未来をつくっていく先頭に立っていただくことを心から祈念いたしまして、あいさつとさせていただきます。

まとめ
中同協女性部連絡会 代表 橋本 久美子氏

記念講演の川口さん。「知ったなりの責任がある」と、この世の中を変えたいという一心で活動を続けている話を聞いて、女性経営者ではくくれないなと思いました。

中同協には、女性が中心となって進めている女性経営者全国交流会(女全交)と女性部連絡会があります。女全交は年1回、女性部連絡会は年2回の開催です。連絡会の主な活動は役員を中心とした交流で、「自社と自分の成長のために」を目的に、「女性経営者のロールモデルと出会う」、「各地同友会の取り組みの情報を共有して連携する」の2つを目標に掲げて全国で取り組んでいます。

そして、女全交で目標としていることは3つあります。1つは「女性のキャリアの早回し」です。女全交の役割に置き換えると、女性は司会や受付などのサポート的な「助手席」に座りがちなので、報告者などの「運転席」に座る機会を増やして成長しよう、ということ。今回は全11分科会、全員が女性の報告者でした。ステージに立つ=キャリアを積むことが大切です。

2つ目は「めざしたい共感型リーダーのモデルに出会う」です。経営で言えば、運転席に座る=経営の主体者になるということ。しんどいこともありますが、自ら決断して経営を進めていくのはとても楽しいことなので、ワクワクした気持ちで経営することを一緒にめざしたいです。

3つ目は「気持ちを言語化し、社会を変える私たちになる」です。モヤモヤした気持ち、これでいいのかという問題意識を具体的な言葉や行動に変えて、身近な所(社会)から変えていこうという気持ちが込められています。3つの目標を「社会性・科学性・人間性」で言うと、1つ目は「科学性」に、2つ目は「人間性」に、そして3つ目は「社会性」につながっています。バランスよく関わっていくことが大事です。

今回の女全交では参加者1338名のうち女性50・3%、男性49・7%で、男女ほぼ同率でした。グループによっては男性が多い所もあったようです。現在、女性の会員比率は4万7000人中12%で約5600人です。女性のキャリアを積む機会を作っていくために、もっと女性会員を増やしていきましょう。また、同友会の役員の女性比率は現在13%で、他の経済団体と比較すると高い割合なのですが、女性会員の母数をさらに増やしてたくさんのロールモデルに出会える環境を作っていきたいです。

この2日間でたくさんの学びを得ました。参加者1300名を超える女全交の設営は大変だったことと心より感謝申し上げ、まとめの言葉といたします。皆さん2日間本当にありがとうございました。

実行委員長あいさつ
第27回女性経営者全国交流会実行委員長 寺本 智恵子氏

実行委員会を立ち上げて1年4カ月、準備委員会は2年前から始めました。実行委員長をさせていただいて、「圧が強い」と言われることもある大阪同友会の女性の「これをやりたい!」「これを絶対やるねん!」という思いがまとまるまでの過程がとても大変でした。

1338名もの参加をいただけたのも、紆余(うよ)曲折を重ねて大阪同友会がひとつになって進んできた結果だと感じています。長い時間をかけてみんなの思いがひとつにまとまって、今日の女全交を迎えることができたという経験が、本当に大きな学びになりました。

「大阪から始まる新たなHistory」のテーマで学んだ2日間、ご所属の同友会、会社に持ち帰り、新たなHistoryのきっかけとなる学びにしていただけるとうれしいです。今回ご参加の皆さんをはじめ大阪同友会の皆さん、関わってくださった皆さんに心から御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

次回開催地あいさつ
第28回女性経営者全国交流会実行委員長 白川 亜弥氏

第28回女性経営者全国交流会のテーマは「GRADATION!咲き誇れ、じぶん色、みんな色」です。私たちは1人1人みんな違う色を持っており、違っていて当たり前です。それぞれの色を輝かせるため、違いを認め合い、影響し合える世界をつくるという意味で「GRADATION」としました。男性も女性も違っていて当たり前。違いを認め、お互いがよい関係であるよい社会をつくることを東京で考えていただきたいと思います。

来年はぜひ東京に来ていただき、皆さんにお会いできるのを楽しみにしております。

分科会座長報告(抜粋)

第1分科会(経営者の責任と覚悟)
ありえない! ポンコツ経営から科学的経営へ

〈報告者〉
 石田 美子氏 ビーエルシー.(株) 代表取締役(広島)
 [事業内容]脱毛をメインとしたエステティックサロンの経営

石田さんは広島で脱毛をメインとしたエステティックサロンを5店舗経営されています。当初はポンコツ経営でしたが、諦めることなく経営への道を探し続けました。女性部の入会が突破口となり、経営に対する姿勢が変化し、現在は全社一体となってビジョンへ突き進む社風を作り上げています。分科会で学んだことを3つにまとめました。

1つ目は、経営者の責任です。借金まみれでも諦めることなく経営を続けた理由は社員の解雇。2度としたくないという責任感が経営者としての一歩を踏み出させます。覚悟が決まって気づいた学びの重要性に、本気で取り組み実践してきました。

2つ目は、開けっ広げで豪快な報告者の人柄です。周りの人に安心と信頼を与え、社員の隠れた能力や自発性が発揮され、一体感のある風土が育っていきました。経営指針の実践、ビジョンへ向かう機動力となっています。

3つ目は、可能性の追求です。自社や自分の器の大きさを決めつけないことです。石田さんはいつも夢を描き、夢に向かって進み続けています。大きな夢を描き、熱意をもって率先してさらにステージを上げていくには学びが重要だということを再認識した報告でした。

〈座長〉京才さとみ氏(クリエイティブ工房シエル/広島)

第11分科会【オンライン】(ビジョンの実践)
チャレンジを続けたことで見えた私のビジョン ~しなやかに。そして強靭に。~

〈報告者〉
 有田 三千子氏 (株)三住建設 代表取締役(大阪)
 [事業内容]建設業・不動産業・コンサル業(起業支援)

11分科会はZoomを使ったオンライン報告でした。経営者として社員と真正面から向き合うことによって起こる悩みや喜びの数々のエピソードから、有田さんの人間性が伝わってきて、参加された方から感動で心が震えたという感想も多く頂きました。同友会仲間の助言や学びからさまざまな気づきを得て、社員の人生に思いをはせ、覚悟を決めて改革していく中で、社員をリスペクトし、心のこもった経営理念が生まれ、持続可能な会社に向けて大きく変革してきた報告でした。

同友会の真髄である「人を生かす経営」は「人の人生を生かす経営」でもある、ということを考えさせられました。女性が働く環境には100%のパワーで仕事ができない時期もある、というご自身の苦悩の経験から、次のビジョンは「働く女性のキャリアを止めない」と決めて推進しています。目の前の課題を解決しながら一歩ずつステージアップされている姿は、まさに「しなやかに。そして強靭(きょうじん)に」そのものでした。

〈座長〉吉田恵美子氏(小金屋食品(株)代表取締役/大阪)

「中小企業家しんぶん」 2024年 8月 5日号より