産学官金の連携の輪を広げる 「若者がいきいきと働ける奈良」をめざして(奈良)

 奈良同友会では、昨年より産官学金の地域連携の取り組みが進んでいます。きっかけは、同友会の活動に関心を寄せたハローワークを統括する奈良労働局との懇談でした。奈良同友会では、企業が連帯して地域で人が育つ環境をつくろうとする合同入社式や社員教育研修、中学・大学での出前講義を実施、また会内の魅力ある企業を紹介する求人冊子「ナラワク」を発行しています。奈良労働局も同じように奈良県内でいきいきと働く人を増やそうと、県内の魅力ある企業の発掘・紹介や「働くこと」の意義について学校での啓発活動を展開していたことで意気投合しました。

 懇談を重ねる中で、全国平均を上回る奈良の「県外就業率」と「離職率」の高さへの対策が必要との共通認識を持つに至り、「若者がいきいきと働ける奈良」の実現に向け連携していくことになりました。その具体化として、就職時の求職者と企業のミスマッチ解消のため、3月12日に奈良労働局と共催で「採用のホンネ×ヒントが聴ける座談会」を開催。当日は、求職者35名、就業支援機関の職員20名、同友会経営者と社員22名が参加。「自分らしく働くには」をテーマに経営者4名とハローワーク職員が登壇するトークショーとグループ討論を行いました。年齢も立場も、これまでの人生経験もさまざまな参加者が、一緒になって地域で「働く」を話せる場として有意義なイベントになりました。

 また、「若者がいきいきと働ける奈良」の実現を掲げた「産官学金交流会」も新たに企画し、これまでに1月、4月、7月と計3回開催しました。行政や大学などの教育機関、金融機関にも参加を募っており、各機関が協力して「地域で若者が育ち、いきいきと働ける奈良」に向けた連携の輪が回を重ねるごとに広がりつつあります。「『働くことはしんどい』と考えている子どもたちに、地域の中小企業と協力して楽しく仕事をする大人の姿を見せたい」(教育機関)、「今後は求職者だけでなく、地域の企業のことをよく知り、企業へのサポートも通して奈良で働く環境を高めたい」(ハローワーク)、「行政が連携することで、地域で中小企業や若者が活躍できる環境をつくり活性化につなげたい」(行政職員)と、今後の連携への展望が語られました。奈良同友会では、さらに連携を広げ「地域で若者が育ち、いきいきと働ける奈良」に向けて引き続き取り組んでいきます。

「中小企業家しんぶん」 2024年 8月 5日号より