同友エコ受賞企業(環境経営委員長賞) 
環境経営を通して、笑顔あふれる元気な徳島を創る 
(株)ネオビエント 代表取締役会長 藍原 理津子氏(徳島)

 同友エコ2023―2024受賞企業を紹介する連載。第3回となる今回は、環境経営委員長賞を受賞した(株)ネオビエント(徳島同友会会員)の取り組みを紹介します。

 (株)ネオビエントは、徳島県にある「あすたむらんど徳島」「渦の道」などの恒久文化施設の指定管理をしている会社です。現在、会長である藍原氏は、2005年に共同で設立した創業者の思いを受け継いで2008年に社長に就任しました。

 環境経営に取り組むきっかけになったのは、環境省が策定したエコアクション21の取得に向けて、2013年から活動し始めたことでした。当初は二酸化炭素の排出量を抑えるための電気や重油の使用量削減、水の使用量を減らすことからのスタートでしたが、継続する中で仕組み化されていきました。社員には入社時からエコアクション研修を行うことで環境経営への意識が深まり、社員主体での更新が可能になりました。

取り組み事例

 指定管理業以外の自主事業を模索する中で、イベント事業と地域活性事業に新たに取り組むようになりました。

 イベント事業では、地域ブランドを創造すべく“あすたむらんど徳島”でのさまざまなイベントを企画しています。廃棄する保冷剤から消臭芳香剤を作ったり、園内の池の水と竹鉄砲を使って水やりを体験したりするエコイベント、子ども用のソーラーカーを使って交通ルールを学ぶ場などを提供しています。また、園内の落ち葉などで作った堆肥でカブトムシを生育する“あすたむエコカブト”は、徳島市主催のエコ自慢コンテストで認定証を授与されました。

 地域活性事業として取り組んだ“とくしまマルシェ”は、徳島のおいしい食材をPRすることで、徳島県が食の宝庫であることを県民に再認識してもらうとともに、販路拡大を通して地域や観光の振興につなげるための食文化イベントです。対面販売で生産者の思いやこだわりを伝えてもらうなど、独自の厳しい出店者選定基準を設けることでファンが増え、毎回約8,000人もの来場者が訪れてくれるようになりました。同時に食の安全性の追求や、廃棄物の削減、減農薬・間伐材の利用などSDGsにも取り組み、徳島の食の未来を守る取り組みとなっています。

環境経営を続けることで見えてきた使命

 中小企業のブランディングの1つとして環境経営に20年取り組んできた中で、「子どもたちに環境の大切さを伝えること」が使命だと気づいた藍原氏は、情報を発信することや、地元野菜の収穫体験イベント、SDGs工作イベントを各地で開催することで、環境に興味を持つ子どもたちを増やすことができると考えました。「自社の小さな取り組みが、地域の子どもたちの笑顔と夢につながっている。これからも(株)ネオビエントの社名の由来である“新しい風”となり、持続可能な地域社会の実現に貢献していきたい」と、力強く語ってくれました。

会社概要

設立:2005年
社員数:正規社員/59名、パート/24名、契約社員/30名
事業内容:施設管理運営、イベント企画・運営
URL:https://neovient.co.jp/

「中小企業家しんぶん」 2024年 9月 15日号より