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シリーズ「どうなる金融〜不良債権最終処理」
「中小企業家しんぶん」2001年11月25日号より

シリーズ1

リストラで病む都市銀行


 小泉首相は就任後の所信表明で「2年から3年以内に不良債権の最終処理をめざす」と宣言、「骨太の方針」では、「経済再生の第一歩」だと強調しています。最終処理の対象は都市銀行のかかえる「破綻懸念先」以下の債権。しかし、現実は地銀、信金、信組も含めた金融再編の動きの中で、この問題が大きくクローズアップされ、厳しい中でも奮闘している中小企業の健全な育成を阻んでいるという現実があります。本紙では金融機関の取材や各同友会の調査を元に、その実態を明らかにし、健全な中小企業が育成される金融機関のあり方を考えていきます。(編集部)

融資窓口リストラの弊害

 「銀行が企業を評価するのは、基本的に決算書の数値です。都市銀行では再編が進む中で、行員や支店がリストラされ、融資業務を行う支店の数を絞り込み、融資窓口の担当者が持っている企業数はここ数年で数倍、ひどいところでは700社も持っているといわれています。ですから、自己査定で担当者が企業の格付を行うときは、個々の企業経営をじっくり見ている余裕もなく、もっぱら決算書の数値からはじき出されたものにならざるをえない。また、行員自身も企業の技術力や経営者の経営手腕を評価し担保できるほどの評価能力が育っていない。育つ環境もないのが実態です」

 大阪にある大手都市銀行の担当者は、このように話しています。

銀行の明らかな変化

 近畿地方は中小企業庁が9月に発表した「中小企業への貸出姿勢に関する実態調査」で、借入条件の「条件不変・サービス低下」「条件厳しく」を併せた数値が、24.9%と地方別で最悪、これに中部、関東が続いています。

 大阪同友会が10月に行った金融経営調査のヒアリングで、「25年間付き合いのある大手都市銀行に、2年前から保証協会の保証付しか貸さないといわれたが、銀行内での債権分類は『正常債権』とのこと。支店が統合され法人部の担当者もなかなか会社に来ない」(建設)、「これまで2%で借りていたものを、今年の8月にいきなり一方的に2.5%と通告してきた。査定しなおしたというが、根拠がない」(運輸)など、銀行の変化に驚きの声が上がっています。2社とも厳しい業況の中で、奮闘している会員企業です。

(つづく)

調査 資料 対話 シリーズ「どうする政策金融Q&A」 シリーズ「どうなる金融〜不良債権最終処理」 シリーズ「どうなる金融〜信金再編の余波」 シリーズ「金融機関とともに地域を考える」 シリーズ「金融機関とともに東京同友会と東信協・保証協会」

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