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シリーズ「どうなる金融〜不良債権最終処理」
「中小企業家しんぶん」2001年12月5日号より

シリーズ2

秋から加速する最終処理



この秋から始まった最終処理の加速化

 各銀行内では「自己査定」として、融資先を格付して(下表参照)債権分類(自己査定)し、「正常先」「要注意先」「要管理先」「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」のうち、「破綻懸念先」以下の債権の回収を急ぎ、オフバランス化(貸借対照表から落とす)し、自己資本比率を上げることに必死になっています。

 すでに各行とも企業の格付けは終了し、一部企業には、「経営改善計画書」を提出させて、格付けを少しでも上げ、不良債権化するのを防ぐ努力もしています。

 京都同友会が10月に行った金融経営調査では自社の格付けを聞いている企業が19.2%、大阪同友会の同様の調査では10%となっていました。

 大阪にある都市銀行の担当者は「いま、『現状の不良債権について最終処理を2〜3年で』の根拠は、銀行内でも『やればできる』という感触はあります。担保物件の競売など、手間のかかる債権でも、今から処理にかかれば十分回収可能だからです。当行でもこの秋から回収目標が大幅に引き上げられました」と語っています。

債権分類比較(クリックすると拡大された表が表示されます)

主要行に合わされる格付け

 この担当者が働く都市銀行での実際の格付けは、大分類で10、細かくは16あるとのこと。1〜5までは正常先、うち1〜3は大企業、4の一部に優良な中小企業が入っているだけで、ほとんどの中小企業は5分類以下です。「都市銀行によっては『3000万円以下の取引先はゴミ』と呼ばれ、整理していく対象となっています」「今は貸出目標は4分類以上で評価する。当行でもリスク管理がますます強まっています」と話しています。都銀の中でも東京三菱銀行の自己査定は最も厳しいといわれています。

 「自己査定とは言っても、主要行の格付けにあわさざるを得ないのが現状です。A行で正常先となっていても、主要行であるB行が要注意先としていれば、金融庁からはA行に要注意先とするような査定がされます」とのこと。

金融庁の査定の厳しさ

 これはたとえば、直接は最終処理に関係ないはずの信用金庫の査定、実際金融庁が9月に発表した「信用金庫(三七六金庫)に対する検査結果について」でも、金融庁の査定の厳しさが伺われます。

 先の報告では、[1]〜[4]分類のうち、特に第[3]分類(最終の回収に重大な懸念が存在する資産)で、金融庁の「当局査定」が、「自己査定」の2倍にも跳ね上がっていること、第[4]分類(回収不能または無価値と判定される資産)では、6億の自己査定に対し1000億(三七六金庫計)となっています。

 査定後は各行とも貸倒引当金を大幅に積み増すことになり、「経営の健全性維持」という名目とは裏腹に、弱小金融機関の実質的な切り分けがなされています。

 「早期最終処理」される都市銀行の不良債権。中小企業貸出に占める都市銀行の貸出割合は、いまだ融資総額の3割以上を占め、中小企業金融のシェアのトップであることから、処理される部分の多くが中小企業であることは明白です。

(つづく)

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