中小企業憲章と私

「憲章」で地域の力を結集し、目標に向かう

山形同友会 政策委員長 伊藤 武昭((有)キューピット社長)


 私は山形の片田舎で、小さなクリーニング店を経営しています。創業は1966年(昭和41年)ですが、創業経営者の怠慢で倒産寸前の会社を叔父が引き継いだのです。

 雪国でのクリーニングは、季節の変動によって大きく左右され、冬季間は資金不足に見舞われ、銀行からの借入に頼ることになります。当社は、借地に工場が建っているため物的担保もなく、今から7〜8年前までは、運転資金の調達に大変苦労しました。

 しかし、同友会で「金融アセス」の法制化を目指して署名運動を展開すると聞いて、早速、地元高畠町議会に請願書を提出し、意見書の採択をしてもらいました。もちろん、山形では最初の意見書採択でした。

 中同協を中心に地道な活動によって金融庁を動かし、地方銀行から中小企業向けの資金を容易に借入できるように金融環境が変わって、現在では本当に助かっております。当時は、借り入れの時期には決まって、銀行の窓口に出向いて資金繰り表と計画書を提出しなければ借り入れできませんでした。しかし今は、必要な時に銀行が会社まで出向いて相談に乗ってくれるようになり、金融環境は非常に様変わりしました。これらは、私たち同友会が取り組んできた活動が実を結んだ結果と受け止めております。

 また、赤石会長からは経済的理由で地元を離れなければならない人をゼロにしなければならないと教えられ、かつ「1つの企業で1人の人が食べていける(働ける)場」を新たに作ることの大切さを諭されると、「いま私の会社では何ができるのか?」を真剣に考えているところです。

 地域を良くする、地域を活性化することの大切さは、地域に住む人全員の共通する課題です。しかし、皆さんがそれぞれに工夫され、創造している姿を見る時、地域の人が今のままではダメだと思っていながら、なかなか形にできないもどかしさを感じないではいられません。

 私は、よく社員に例え話をします。「乾電池は単体では1・5ボルトです。これを並列に、いくらつないでも明るさは変わりません。しかし、これを直列につないだ時には、2倍にも3倍にも、時には10倍にも明るくなるのです。目標を1つにして、全員が1つの目標に向かって頑張れば、達成できないことはない」と。

 地域の目指す目標も、1つに集約できる人(場)ができることのすばらしさを強調したいと思っております。これこそが、今、私たち同友会で進めている「憲章」であるはずです。

「中小企業家しんぶん」 2007年 3月 15日号から

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