中小企業憲章と私

人育て通して、地域の未来を考える

中同協共同求人委員長 前田幸一(濱島印刷(株)副社長/鹿児島)


 2004年に開かれた中同協定時総会の総会宣言で、中小企業憲章の制定が同友会の運動方向であると、はっきり示されましたが、正直言って、どのような活動をすればいいのか、私の頭の中には描くものがありませんでした。

 また、この運動を説明するとき、「中小企業基本法が大企業寄りの法律で、中小企業の現状や解決すべき諸問題に関する法が欠落しているから、基本法をより柔軟に補完するものとして憲章が必要である」と話しますと、大方の会員さんが首をひねり、「どんなことをすればいいの」と不安な声が返ってきたものでした。

 最近は、「わが街の振興基本条例が、本当に私たちのためになっているか、ケンショウしましょう」と、錆(さ)び付いた駄洒落(だじゃれ)で愉快に話しています。

 私はこの運動は、共同求人活動を通した「中小企業に対する国民の意識改革」であると思っています。

 学生や先生方に地域の中小企業の役割や現状を知ってもらうことは、「採用」にもつながる大切な要素です。

 学校訪問で、メンバーの一人ひとりが同友会の理念や企業の実践と夢を先生方に語り、生徒や学生にも伝える。あるいは、インターンシップを受け入れ、社員と一緒になり、「働く」ことの意味を伝える。また、経営者と学生、先生や地域社会の人々と、地域の未来や、中小企業の抱えている問題や企業の役割、あるいは、鹿児島でもシンポジウムを開催したワーク・ライフ・バランスの推進などを討論することは、憲章運動の大事な要素の1つであると考えています。

 このような活動は、単に人を採用し、教育するためだけの活動ではなく、地域社会における中小企業の存在価値や自社の社会的貢献などを理解してもらえるよい機会でもあることは言うまでもありません。つまり、地域の職業教育や人材育成の一端を担っている活動とも言えるでしょう。

 共同求人活動は、この憲章運動を、「人材」という切り口で、教育の現場や同友会でダイナミックに議論して地域社会に広げていきたいものです。

「中小企業家しんぶん」 2008年 4月 15日号から

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