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【05.04.28】総会分科会 「中小企業憲章」を力に【愛知】

「自社と憲章のかかわり」を深める

 中小企業憲章をテーマとした愛知同友会総会第2分科会では、問題提起「わが社の経営指針、その実現の妨げとなる外部要因」を原田晃宏氏(原田酒造(資)社長)が、助言報告「企業環境を変革して、中小企業の時代づくりを」を大林弘道氏(神奈川大学経済学部教授)が行い、座長は加藤洪太郎氏(名古屋第一法律事務所・弁護士)が務めました。


 この分科会では、事前に入念な準備と打ち合わせが行われました。画期的なのは、政策委員会に属する16名の政策委員にあらかじめレポートを書いてもらい、それを大林教授が分析し助言するというスタイル。政策委員は当日、グループ長も務めました。


 そのレポートとは、「自社の経営指針を実行する、その妨げとなる外部要因は何か」「こうした外部要因を変革するためには、中小企業憲章制定運動はどうあって欲しいか」を問い、(1)業界の現状、(2)自社の方向性、(3)望ましい経営環境、中小企業憲章に望むこと、の3つの設問に答えるものです。


 問題提起者の原田氏もこのレポート内容にそって、次のように報告しました。「日本酒の需要が10年で半減するなど環境が激変している中、自分で売り先を持たない下請け酒造メーカーは廃業が相次いでいる。当社は地元の酒米にこだわっているが、農業政策の中で生産打ち切り等の事態に直面し、契約栽培など対応が必要となっている」「同友会で経営指針を作成したが、150年の老舗企業ゆえの経営体質のもろさがあり、経営指針の見直しが求められている」など。


 大林教授は、原田氏を含む政策委員16社のレポートを一覧表にし、外部環境を、(1)市場・産業構造(成長・停滞)、(2)技術(新規・変化)、(3)制度(制約・改悪)、(4)大企業行動(経営戦略・独占的行動)、(5)公正取引(後退・阻害)、(6)経済政策(景気政策・構造政策)、の6つの課題にまとめました。


 大林教授は、原田氏の事例でいえば、これらの課題が酒米という原料の確保から生産、販売、納税の各段階でそれぞれかかわっており、これらを経営者がふまえて自社の方向・戦略を定める大切さを強調。さらに「課題の実現は、経営努力でどこまで解決可能かを見定め、さらに経営努力の範囲を超える課題については経営努力を支援する仕組み・環境を提案することが重要」としました。


 グループ討論では、中小企業憲章の「分析の目」で自社の経営を考え、課題と方向をえぐり出すことの大切さを確認しました。


 この分科会が提起した「自社と『憲章』とのかかわり」という設定は、相互の位置関係を見失わないで議論を深められるという声もあり、身近なテーマから憲章に迫ることができる分科会になりました。


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