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【11.02.04】【中小企業振興条例をどう活かすか】(5) 落語で伝える中小企業基本条例−落語家は市の職員

2009年制定の北海道釧路市中小企業基本条例〜「市民にも関心を持ってもらいたい」

 「全ての自治体に中小企業振興基本条例を作ろう」を合言葉に、北海道同友会は条例制定運動を進めています。東北海道に位置する釧路、根室地域では、13の自治体のうち、釧路市、別海町、中標津町の3つの自治体が条例を制定し、新年度には厚岸町、弟子屈町で施行されます(2010年11月 5日号既報)。
 中核都市の釧路市では、2009年に条例が制定されましたが、市役所職員が条例の落語とマンガをこのほど制作しました。

八つぁん、ご隠居から学ぶ中小企業の役割

 釧路市では、2009年4月に、市民と企業、行政が連携し、お金を地域で使う域内循環で中小企業振興を目指すという理念の下、条例が制定されました。この条例を市民にも広く知らせていこうと、釧路市商業労政課長の高木亨さんが「落語・中小企業基本条例」を制作しました。

 高木さんは、条例制定に向けて北海道同友会釧路支部と一緒に勉強会を行うなど、中心となって取り組みを進めてきた1人。浮世亭狂楽の芸名を持つアマチュアの落語家でもあります。

 この落語は、長屋の八つぁんがご隠居から条例について学ぶ物語です。

 「企業を住民に知ってもらうとか連携だとかより、もっと金儲けの方法を考えたほうがいいんじゃねぇのかい」と言う八つぁんに、ご隠居は「かつては経済が活発でどんどんお金が国に入ってきた。ところが今は、国にも地方にも金がない時代だ。大企業が経済を引っ張るだけの方法では立ち行かなくなってきた。そこで中小企業を元気にすることが必要なんだ」と答えます。

 さらに、ご隠居は、八つぁんを諭します。「製造や配送など身近な経済を担っているのは、地元で活躍している中小企業なんだ。しかも、従業員は地元の住民だ。つまり中小企業を助けるってことは、地元の働き口を守るってことでもあるんだ」と条例の内容を分かりやすく語っています。

 北海道同友会釧路支部の役員に、この落語が披露され、参加者の好評を博しました。

宇宙人が地域経済活性化のヒント

 高木さんは、落語以外に「マンガで知ろう、釧路市中小企業基本条例」も作成しました。地球経済を破壊し、地球を乗っ取ろうとする宇宙人「グレイ」が、主人公の中学生「なちゅろう」と出会い、地域経済活性化のヒントを与える内容。第1話は同友会釧根事務所のホームページ上で掲載しています。

 「条例は域内循環、産消協動など難しい言葉が並び、理解できないと思われがちです。落語やマンガを通して、笑いながら少しでも市民の皆さんに関心を持って欲しい」と高木さんは話しています。

 北海道同友会釧路支部では、今後も釧路市などとも協力しながら、条例を広めていく取り組みを進めていく予定です。

(北海道同友会釧根事務所 事務局 吉本勝)

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