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【11.11.16】【中小企業憲章を生かす】12 本業を見直し連携について学ぶことから〜奈良同友会政策委員長 西村博史(西村博史会計事務所所長)

 中小企業憲章が制定され、奈良同友会でも、憲章制定の意義が論議されましたが、中小企業憲章の内容は大変深いものがあり、表面的な理解だけでは到底憲章を活かした中小企業の活動に結びつけることはできません。

 憲章を理解する上で、憲章・条例推進本部が発表した「中小企業の見地から展望する日本経済ビジョン」は、これからの中小企業を中心とした国づくりの具体的な方向性を指し示す日本経済の展望としてたいへんわかりやすいものとなっています。

 「暮らしに根ざす新しい仕事づくり」としての事業創造、「雇用の主要な担い手」としての雇用創出、そして「人を育てること」の3つは、これまで同友会が提唱し実践してきた活動そのものであり、会員企業の企業づくりの中に現に生かされ求められているものです。

 同時に地域内循環を高め、地域資源を生かした地域経済の自立化をめざそうと呼びかけられています。

 奈良県は、かつては他府県からの流入人口が多い人口増加県として有名でしたが、今後2020年までには人口減少が全国の倍以上の速さで進む人口減少県となる予想です。これは、県内に仕事が少なく県外就業率全国一位であり、就業率も全国で2番目に低いという産業構造や、今後退職後の高齢者が増加するという状況によるものです。また、県内雇用者の所得分類も建設業が大きく後退し、代わりに医療福祉業が最大となっています。

 今後、地域の活性化が図られなければ、税収が減少し、やがて年金医療福祉など公的サービスの縮減などにつながることがいよいよ明らかになっています。

 このような情勢の中で、仕事づくりのために「自社は何のために存在するのか、どのように社会に役立つ存在になるのかという企業存立の原点・意義に立ち返りながら本業を深く見直し」、「ネットワークを柔軟かつ縦横に築き上げる」ことの重要性を奈良同友会の会員は学びつつあります。中小企業が地域の困りごとにきめ細やかに応え、地域でなくてはならない存在になることが今最も求められています。

 奈良同友会では、連携について学習を行うことから始め、地域と自社の課題を結びつけながら、地域資源を活用し中小企業の力で地域活性化を行おうとする動きが始まろうとしています。奈良県経済が抱えるさまざまな課題に対する奈良同友会の取り組みはまだまだこれからです。しかし、その歩みは確かで着実なものとなるに違いないと確信しています。

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