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【13.01.23】【中小企業憲章を生かす】21 企業の社会的責任と「商助」の精神

京都同友会副代表理事中村 行則((株)ナカムラ 専務取締役)

 中小企業憲章、地域振興条例は自社にとって遠いものだと感じている会員の方がまだたくさんいると思います。私もそんな会員の1人でした。家族の故郷がシャッター通りになっている現実を目の当たりにしたことが契機になり「地域」のことを考えるようになりました。

 地域の特徴をよく理解すると、自社に何ができるかが見えてきます。これが「企業の社会的役割」だと思います。この社会的役割を自社の経営理念に取り入れ、理念を地域に向け発信することが大切です。地域の方々が、その企業の社会的役割を理解し、賛同されるとその企業は頼られる存在になります。地域におけるなくてはならない会社になり、責任をもって役割をはたしていくことになります。

 当社の地域は高齢化が進み、高齢者の方はいろいろなことに不安を感じています。その中でも、「家のことは安心してもらおう、何でも当社に依頼してもらおう」と全社で決めました。

 「街の家守りとして、地域の安心、安全、暮らしを守ります」という経営理念を、手書きの新聞やホームページで地域に発信しています。私たちの発信した理念を理解された地域の方々からさまざまな依頼が来ます。ガスコンロの電池交換、雨樋の掃除、手摺りの取付など、どこに依頼すればよいのか不安に思っていた地域の方々が「ナカムラさんに相談したらよい」といっていただくようになりました。当社の社会的役割を理解していただいた結果です。そして、「頼られている、あてにされている」という実感があり、責任をもって全社で仕事をこなしています。

 当社は、「地域と歩む中小企業」を実践したいと思っています。福岡全研で分科会報告がされる「与謝野町中小企業振興基本条例」には、「商助」という精神が生かされています。「商助」とは会社、経営者が仕事を通して地域に貢献することです。中小企業憲章の理念を自社で生かすことは、難しいことではありません。地域における自社の社会的役割や責任を明確にし、それを発信することです。

 そのような中小企業が増えれば、地域が変わります。中小企業憲章の理念を自社や地域で生かすこと、そして同友会運動は、地域から日本を変えることにつながる大きな運動であると思います。


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