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【15.06.02】【憲章・条例ニュース】条例に命を吹き込み、岩手の未来を描く

岩手県で中小企業振興条例・公契約条例施行

 4月1日、岩手県の中小企業振興条例が施行されました。一関市に産業振興条例はあったものの、実質的には県内で初めての中小企業を対象とした振興基本条例となります。

 岩手同友会の条例制定へ向けた政策活動がスタートしたのは、ちょうど10年前となる2005年のことです。中同協から瓜田靖政策局長(当時)を迎え、行政機関を迎えての学習会を開始。

 まず経営者自らが地域課題を学習することと行政機関と共に取り組んでいくことの重要さを学び、その後県との懇談会や政策提言、同友会大学などで学習活動を積み上げました。その数は条例制定までの10年で非公式なものも含めると、60回を越えます。

 しかしながら、岩手同友会の会勢は10年前の政策活動開始時157名で、会勢の少なさが声が届かない原因にもなっていました。

 それが大きく変わったのは、東日本大震災の復興への取り組みです。全国同友会からの支援活動をはじめ、「岩手の企業を1社もつぶさない、つぶさせない」をスローガンに、地域の砦としての中小企業を守り雇用を創出することに、震災後全力を傾けました。

 中でも震災後の陸前高田市の全事業所調査の実施など、地域全体の企業に呼びかけ続けたことは行政をはじめ、県内の経済団体、研究機関が大きく評価しました。現在では構成4団体の1つとして審議会や委員会などさまざまなな機会で役割を担っています。

 「震災からの長く続く復興。そして人口が減少し続ける中で、地域の資源をフルに生かし、エネルギーシフトで連携し新たな仕事、雇用を生み出していこう。そのために行政や経済団体の壁を越えて一致協力していこう」との提起は、県議会でも会派を越えて共鳴し、条例制定へ向け全会派で推し進めることになりました。

 この間の県議会議員との懇談や意見交換、学習活動の積み重ねは、それぞれの同友会の理念への理解を深め、中小企業の地域での存在を確認し、共に地域をつくっていく意思を互いに意識できたことが大きな成果ともいえます。

 また、今回同時に制定された岩手県が締結する契約に関する条例(公契約条例)では、作成の段階で「労使見解」をもとに、経営者と組合の意見の摺り合わせを行う場面もありました。この公契約条例には、地域の中小企業が生産、製造したものの利用を進めていくことや、中小企業を、持続可能で活力ある地域経済を担う重要な役割と位置づけており、中小企業振興(基本)条例と同時に制定された意義は非常に大きなものがあります。

 昨年秋に出された条例骨子案には商工会議所、商工会連合会、中小企業団体中央会と共にパブリックコメントに70件もの意見を提出。条例名が商工業振興条例から中小企業振興条例に変わるなど、影響力を発揮しました。

 毎年6月に開催している中小企業憲章制定記念シンポジウムでは、4団体が共催団体として名を連ね、こうした県内経済団体の連携協力が、大きな力となりました。また、エネルギーシフトについても理解が広がり、本年度策定予定の実行計画(基本計画)に盛り込まれる予定です。

 条例の制定で、企業として同友会として期待に応えられる組織づくりが進んでいるか、むしろその役割と責任の大きさが増しています。

 7月に岩手で開催される中同協第47回定時総会の開催と岩手同友会会勢555名の実現。今年は条例に命を吹き込み、岩手の未来展望を描く大切な年となります。
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