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【17.04.26】福島の未来をみんなでつくる第一歩〜県内4市で中小企業振興基本条例が制定【福島】

 今年3月、福島県の郡山市議会において、「郡山市中小企業及び小規模企業振興基本条例」が、全会一致で可決、成立しました。これにより、福島県内では、昨年4月から施行された福島市・いわき市、昨年12月議会で成立した須賀川市に続いて、4市目の中小企業振興基本条例の制定となりました。

地域の中で幅広く条例の必要性を訴える

 福島同友会・郡山地区では、6年前から郡山市での中小企業振興基本条例の制定をめざした活動を進めてきました。政策提言委員会や理事会を中心に条例に対する学習を進めるとともに、他団体の参加も募って条例を学ぶ場を設けたり、市長懇談会や行政の担当者との懇談会を行って条例制定の必要性を訴えるなどの活動を展開してきました。

 当初は、「条例ができたら、どんな直接的なメリットがあるのか?」といった声も少なくない中で、「地元中小企業の役割の再確認」と「そうした企業群をもとにした地域の未来をみんなで描いていく」という条例の意義を粘り強く学び、広げていきました。

 また、福島同友会の経営者交流大会では、2012年から毎回、中小企業憲章・中小企業振興基本条例をテーマに掲げた分科会を設けてきました。昨年11月に開催した経営者交流大会では、愛媛同友会から松山市における中小企業振興基本条例の制定と生かし方について学ぶ分科会を開催。福島県と県内5市から行政の担当者、さらに商工会議所や金融機関など会外から15人の参加を得て学びあいを進め、条例への理解を広めることができました。

 こうした活動は、これまでに条例が制定された福島市やいわき市、須賀川市などでの経験をもとに、地域での幅広い理解を得ていく事が大切だという経験に基づいて進めてきたものです。

条例にふさわしい企業づくりとの両輪で

 こうした活動を進める中で、「条例によって行政が何かをしてくれる」という認識ではなく、「私たちが主体者としてどのように地域づくりを進めていくのか」が大切だという認識が広がってきました。条例の施行を機に、条例に定める「多様な分野において特色ある事業活動を行うことにより本市経済をけん引するとともに本市の雇用を支える地域社会の主役というべき存在である」(郡山市条例の前文)にふさわしい会社…経営指針を成文化して地域になくてはならない会社づくりに磨きをかけていく決意を新たにしたところです。

条例を生きたものにするために…

 今後は、こうした条例をどのように有効に機能させていくかが課題となります。

 福島県では11年前に中小企業振興基本条例が制定されましたが、必ずしもその効果が実感できるまでには至っていません。年に数回の審議会を開くだけでは、なかなか実効的な施策は難しいので、「条例のPDCAを回していく点から、地域の中小企業の実態を把握しそれに対して具体的な施策を討議していく場を設ける」という提言を、2月に行われた福島県知事との懇談会での提言書の中で訴えました。

 また、条例運動を進める中で、「雇用」が中小企業に期待される大きな役割の1つであることが明らかになりましたが、それに応えるためには、休止状態となっている共同求人活動の再開といった新たな課題も浮き彫りになってきました。

 さらには、議会との懇談会や商工関係部署との懇談会などを開催し、さまざまな形で対外的な懇談の場を広げていく活動も予定しています。

 福島同友会では、東日本大震災とその後の原子力発電所の事故を経て、人材不足や震災復興に関わる特需とその終えんなど、状況が刻々と変化しています。そんな中で、中小企業が輝き、地域も輝く福島県をつくっていこうという気概で、まだ制定していない地域での条例制定への活動を進めていくとともに、よい会社づくり・地域づくりを広げていくために同友会の仲間を増やす活動も元気に展開していく予定です。

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