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【18.09.05】地域の将来に対する「祈り」としての条例制定 新見市小規模企業・中小企業振興基本条例施行【岡山】

 岡山県新見市は、7月2日に「新見市小規模企業・中小企業振興基本条例」を施行しました。

 同市では、新見商工会議所・阿哲商工会・岡山同友会・行政担当者からなる「条例制定勉強会」を経て、2017年7月に検討委員会が組織され、委員長に(株)鈴木工業の鈴木香氏(岡山同友会会員)が就任。アンケートや県外視察、学習会などによる調査・研究を行いながら議論を重ね、素案を作成しました。

 岡山同友会も当初から積極的にかかわり、愛媛同友会の協力による東温市・松山市の視察、有識者の紹介、学習例会の開催などを通じて、条例制定の機運醸成に努めてきました。

 条例は、前文に加えて「基本理念」「大企業の役割」「金融機関の役割」「教育機関の役割」など全13条から成ります。

 第5条「中小企業・小規模企業者の努力」には、「そこで働く人が生きがいや働きがいを実感できる職場づくりに努めるものとする」と明記されており、同友会の企業づくりと軌を1にしています。

 第8条「金融機関の役割」では、担保・保証に依存することなく事業内容や成長可能性を適切に評価し、その成長を支援することを求めています。

 第9条「教育機関の役割」では、学生などに対して中小企業が市の発展に貢献していることへの理解を促すとともに、勤労観・職業観の形成と地域の将来を担う人材の育成を求めています。

 また第12条では産業振興会議の開催を定め、施策の検証過程も明らかにしています。

 本条例は、行政が主導するのではなく、地域の中小企業経営者や関係団体が直接意見を交わしながらその成立過程に主体的に関わった事例として、県内では大きなエポックを画すものでもあります。

 検討委員会の委員長を務めた鈴木氏は「今まで多くの経営者仲間が廃業し新見を後にする姿を目にしてきた。条例は、志半ばにして事業を諦めざるを得なかったかつての仲間への思いであり、地域の将来に対する自分たちの『祈り』だ」と語っています。

 先の豪雨により大きな被害を被った同市では急ピッチで復旧が進んでおり、中小企業に寄せられる地域の期待もますます高まっています。

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