学習資料(中小企業憲章)

中小企業憲章学習のポイント
『中小企業憲章学習ハンドブック』活用法

 

 現在、全国各地の同友会で中小企業憲章学習運動がさまざまなスタイルで創意的に取り組まれていますが、このほど、憲章学習のテキストとして『中小企業憲章学習ハンドブック』(中同協発行)が発行されました。

 本書は、各同友会が「中小企業憲章」の学習に活用するために必要不可欠と思われる内容が盛り込まれています。なぜ今、日本の経済社会が「中小企業憲章」の求められる時代になったのか、など「中小企業憲章」の必要性についての理解を深め、その全体像をつかむうえで本書は、同友会運動での標準的なテキストとなることが期待されます。

 そこで、憲章学習の一助となることを願って、『中小企業憲章学習ハンドブック』の活用方法と群馬同友会の取り組みを紹介します。

中小企業憲章学習運動にどのように取り組むのか

 まず、同友会はこの中小企業憲章学習運動にどのように取り組もうとしているかを確認したいと思います。中同協総会議案の活動方針は「4つの柱」として提起しています。『ハンドブック』では、「第1章、中小企業憲章学習運動推進のために」の中で「4、中小企業憲章制定運動を進めるための4つの柱」を明示しています。

 当面の方針では、各同友会・支部が中小企業憲章学習運動に取り組む方針を持ち、担当を決めることを最低限の課題とし、(1)運動の推進役としての憲章の「語り部」を増やす、(2)政策委員会以外の委員会・部会でも憲章を討議する、(3)憲章をビジョンづくりに位置づける、(4)地域の経済振興施策や中小企業政策などの状況を把握する、(5)当面可能性のある自治体で「中小企業振興基本条例」の制定・見直しに取り組む、(6)同友会も参加する「産業振興会議」などを設置させ、ほかの中小企業団体や行政とともに地域経済・中小企業に目が向いた政策立案を進める、などの挑戦すべき課題も提起しています。

 さらに、2005年8月の中同協第1回常任幹事会では、「方針」を噛(か)み砕き、(1)中小企業憲章が会員に浸透するまで継続して(当面2年間)学習運動に取り組む、(2)会内での学習は、自社の経営課題と外部環境要因を深く理解して、中小企業憲章をより身近に考える愛知同友会の方式に学び積極的に実践し、その成果を推進本部で集約する、(3)会外に対しての働きかけは、地域の現状をよく把握しながら、行政や他団体とのコミュニケーションをよく取り、条件のあるところから産業振興会議などを立ち上げるなど、中小企業振興基本条例の制定に取り組む、(4)推進本部としては、憲章運動の今後を展望するロードマップ(工程表)などの作成を検討する、などを確認しています。

中小企業憲章学習にどこから入るか

 まず、例会・研究会で初めて取り組む場合、本書の「第1章、中小企業憲章学習運動推進のために」と「第2章、よくわかる中小企業憲章Q&A」を、参加者で読み合わせることから始めることをお薦めします。

 また、「なぜ今、日本の経済・社会が中小企業憲章の求められる時代になったのか」など、中小企業憲章の必要性の理解を深めるために、「第3章、日本の経済・社会における中小企業の役割と展望」をお読み下さい。

 さらに、「なぜ中小企業基本法及びその改正だけでは不足なのか」「なぜ中小企業憲章に取り組むことが新しい中小企業運動といえるのか」などを検討する素材としては、「第4章、中小企業基本法・中小企業憲章と新しい中小企業運動」をご活用下さい。

 なお、第3章、第4章をそれぞれ執筆された吉田敬一教授と大林弘道教授は、ほぼ同じテーマでもう一歩踏み込んだ論考を『企業環境研究年報・第10号』(2006年1月発行予定)に載せていますので、さらに内容を深めたい方は、そちらもご覧下さい。

 特に、理事・役員の方々は、「資料集」の「(1)中小企業憲章への中同協の取り組みの経過(2003年〜2005年)」で運動の経過をまず確認して下さい。また、北海道同友会の「(2)中小企業憲章制定運動を考えるためのフローチャート」を参考に、各同友会での同友会運動と中小企業憲章のかかわりの全体像をビジュアルに理解できるものを作成されることをお勧めします。

自社の経営と憲章のかかわりを考える学習方法

 この間の学習運動を通じて、愛知同友会のような自社の経営と中小企業憲章との関係を正面から問う学習運動が普及してきました。「(3)学習運動資料(愛知同友会の「わが業界の現状と自社の方向性、外部環境阻害要因」レポート・フォーマット、企業レポート回答一覧)」を参考に、各同友会でも挑戦しましょう。

 進行パターンとしては、(1)まず理事が責任を持って学習会を実行することが前提、(2)事前に「わが社の現状と自社の方向性、外部阻害要因」のレポートをメールで提出してもらい、(3)それを事務局が一覧表に整理し、(4)「憲章における自社を語る」とした事例報告を30分ぐらいで報告する人を事前に選ぶ、(5)学習会当日は、報告に基づくグループ討論では必ずレポートをまとめた一覧表をもとに自己紹介をする、(6)グループ長は外部環境阻害要因に注目した議論にこだわる(経営課題の交流に終始しないように注意する)、(7)レポートを出さないで学習会に参加した人も事後に必ず提出してもらうことを追求する、という手順です。

 また、愛知同友会では学習ツールとして、パワーポイント「中小企業は日本の宝」を作成しています(愛知同友会ホームページで公開 >> http://www.aichi.doyu.jp/)。これを使って学習会をパッケージ化しています。学習会の次第と時間配分は、パワーポイント「中小企業は日本の宝」(音声付25分)+「憲章・条例とは」(15分)+「事例報告」(35分)+事前提出レポート「自社経営と外部環境」+「グループ討論・グループ発表」(65分)が一式。中小企業憲章の学習は、創意工夫しながら楽しく取り組むことが肝要です。各同友会・支部などでも創意的な取り組みが期待されます。

中小企業振興基本条例や産業活性化の取り組み

 地域活性化や中小企業振興基本条例の制定・見直しの取り組みでも、学習の基本は憲章と同じです。地域とのかかわりを深めるには、地域経済と産業の現状をきっちり把握することが前提です。「(3)学習運動資料(北海道同友会の「データでみる北海道の特徴と今後の可能性〜討論のための基礎資料として」)」を参考に資料データを収集し、地域の現状をデータに基づいて分析し、話し合いましょう。

 中小企業振興基本条例の制定・見直しでは、「(6)中小企業振興基本条例事例集(埼玉県、東京都墨田区、大阪府八尾市)」がモデル事例になります。具体的な条例作成の方法などについては、中同協ホームページなどをご参照下さい。
>> http://www.doyu.jp/kensyou/

 なお、『研究センターレポート第17集』(2006年1月発行予定)では、女性経営者全国交流会第8分科会パネル討論「生活者の視点でみた中小企業憲章」(赤石会長他2名)と愛知同友会での憲章学習実践事例(4社)を掲載します。

 

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