『同友会運動の発展のために』から学ぶ 第1回

 同友会を正しく理解するための研修用テキスト、『同友会運動の発展のために』がこのほど改訂され販売されています。『同友会運動の発展のために』は同友会の理念、同友会活動のあり方などがまとめられています。本紙では、『同友会運動の発展のために』より文章を引用し、同友会理念の形成過程や到達点などを連載で紹介します。

第1章 同友会理念について

第一節 同友会理念とは

 企業に経営理念があるように同友会にも同友会運動の歴史と経験の蓄積の中で培われてきた同友会理念(注)と呼ばれるものがあります。理念とは、「価値判断の基準となる根本的な考え方」の意味であり、会の目的、性格、基本となる考え方を総称するものです。

 同友会理念とは、現在、次の3点にまとめられています。

 第1には、「同友会の3つの目的」です。

 第2には、「自主・民主・連帯の精神」です。

 第3には、「国民や地域と共に歩む中小企業をめざす」ということです。

 では、次にその内容を考えてみましょう。

1、「同友会の3つの目的」とは

 1973年、中同協第5回定時総会(愛知)で、「同友会の理念について」というテーマで審議され、採択された文書に「同友会の生いたちと展望」があります。その中に、今、私たちが掲げている同友会の3つの目的が明記されました。

 それは、
 (1)同友会は、ひろく会員の経験と知識を交流して企業の自主的近代化と強靭(きょうじん)な経営体質をつくることをめざします。
 (2)同友会は、中小企業家が自主的な努力によって、相互に資質を高め、知識を吸収し、これからの経営者に要求される総合的な能力を身につけることをめざします。
 (3)同友会は、他の中小企業団体とも提携して、中小企業をとりまく社会・経済・政治的な環境を改善し、中小企業の経営を守り安定させ、日本経済の自主的・平和的な繁栄をめざします。

 となっています。

(次回に続く)

(注)同友会理念:1990年中同協第22回定時総会(香川)にて採択。「3つの目的」、「自主・民主・連帯の精神」、「国民や地域とともに歩む中小企業をめざす」の3つを同友会の基本理念として明確にしました。

 理念とは、「価値判断の基準となる根本的な考え方」の意味ですが、単に抽象的な概念として存在するのではなく同友会理念は、戦後の中小企業運動を担ってきた先人たちが熱い思いのもとに長い時間をかけて創り上げてきたものです。

 運動の理念としてだけでなく経営の理念として実現の追求をしていくものです。

「中小企業家しんぶん」 2016年 7月 5日号より