『同友会運動の発展のために』から学ぶ 第2回

第1章 同友会理念について

第一節 同友会理念とは

(前回の記事)

1、「同友会の3つの目的」とは

 第1の目的は、「よい会社をめざす」ということです。よい会社とは、企業の理念が明確であり、顧客や取引先、地域社会からの信頼も厚く、社員が生きがいや使命感、誇りを持って働き、どんな環境変化に直面しても雇用を守り、永続して利益を出し続ける企業といえるでしょう。それは、同友会運動が生み出した「中小企業における労使関係の見解(労使見解)」にもとづき労使間の強い信頼関係で裏打ちされた人間尊重の経営をめざすことでもあります。 こうした「どのような環境変化にも負けない強靭(きょうじん)な体質の企業づくり」をめざして、会員が相互に切磋琢磨して学びあうことを提起しています。

 第2の目的は、「よい経営者になろう」ということです。会員一人ひとりが常に経営者として科学性、社会性、人間性にもとづく経営理念を確立し、その実践ができる経営者をめざし、自分自身に磨きをかけていく。そのために謙虚に学びあい、高まりあい、時代を切りひらく総合的な能力を身につけていこうと呼びかけています。

 第3の目的は、「よい経営環境をめざす」ということです。私たちは、主として個々の経営努力によって企業の未来を切りひらいていきますが、経営努力だけでは解決できない、時代の流れ、産業構造の変化、政治・経済のしくみから生じる困難な課題がたくさんあります。私たちは、日本経済の真の担い手としての誇りと自覚に立って、経営努力が公正にむくわれる経営環境を実現するために、会員が結束し、他の中小企業団体とも提携し、努力していくとしています。

 以上の3つの目的は、企業の健全な成長を願う経営者であれば、すべての人が賛同できるものです。

 ここで大切なことは、3つの目的はそれぞれが切り離されて独立したものではなく、相互に関連し、密接なつながりを持っているということです。「よい会社」にしていくためには、「よい経営者」になる努力は欠かせませんし、中小企業が繁栄する土壌=「よい経営環境」が必要です。

 また、同友会が「よい経営環境」づくりのための要望・提言を社会的にアピールしていく場合も、会の構成員が、「よい会社」「よい経営者」をめざす“良識ある経営者集団”としての社会的評価をえていることが大切です。

 会のすべての活動を3つの目的を実現していくという総合的な視点から常に考え実践していくことです。

(次回に続く)

「中小企業家しんぶん」 2016年 7月 15日号より