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中小企業家しんぶん

コラム「円卓」のバックナンバー

●2024年 5月 5日号

▼わが子の初節句に、妻の親から贈られたお祝いを全額使って鯉のぼりを買いました。分不相応に大きな鯉の揚げ降ろしに難儀しながら、背中に冷たい視線を感じた記憶があります。あれから39年、真っ青な空を泳ぐ鯉のぼりも年々目にする機会が減りました

▼22年のわが国の合計特殊出生率は1・26。出生数は76万人を割り、65歳以上の人口は29%です。農水省の研究機関によると、高齢者の4人に1人は近くに商店がなく、食料品調達に苦労しています。4月24日には人口戦略会議が、2050年までに全国の4割に当たる自治体が消滅する可能性があるという分析レポートを発表しました

▼島根県江津市有福温泉の再生に取り組むEVENTOSさんは広島の会社。かつて20軒あった旅館は3軒にまで減りましたが、同社が宿泊施設の飲食機能を引き受けることでお客さまが戻り、今は旅館が8軒に増えました

▼少子高齢化の進行と人口減少は、総需要の減少と労働力不足という難問を私たちに突き付けています。「新陳代謝」の掛け声も大きくなりがちですが、企業や地域で失われた機能を支えるのは中小企業の役割。社会課題解決に立ち向かう中小企業の挑戦は各地で芽生えています。

「中小企業家しんぶん」 2024年 5月 5日号より


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